第4話 2人でネットカフェ

 ◇◇◇◇◇


 龍太郎とカレンは近くのネットカフェに行き、2人で個室にイン!


 ふう。こんな個室に女性と2人っきりだと緊張するなあ。

 夢咲さん、美人だし。余計にヤバい。

 早いとこ、用件を聞いて切り上げよう。


龍太郎:「で、話って何?」


カレン:「いきなりだね。

 まあ、いいわ。単刀直入に言うわね。

 天堂くんって、今はパーティ組んでるの?」


龍太郎:「いや、ソロ活動してるよ。」


カレン:「なるほど。理由は?」


龍太郎:「むー。夢咲さんも空気読めない人だね。」


カレン:「あ、ごめんね。

 天堂くんだからってことよ。

 普段はちゃんと空気の読める女です。」


龍太郎:「それも失礼な話だと思うけど。

 まあ、気にしてもしゃーないから言うけど、俺のスキルがヘボすぎて、レベルも低いからって理由だな。

 今はソロ活動だけど、気楽ではある。」


カレン:「ふむふむ。なるほどね。

 私も今はソロ活動なんだ。

 非戦闘系のスキル持ちの宿命みたいな感じだよね。

 もうエクスプローラを続けるのもなかなか厳しい感じだよ。

 何があるかわからないしね。」


龍太郎:「そうなんだよな。

 俺も結構、厳しいかなって思ってた。

 生活的には優遇されてるけど、このままじゃ命の保証がないからな。」


カレン:「だよね。

 でも、諦めきれないというかね。」


龍太郎:「そうそう。わかる。」


カレン:「でね。いきなりなんだけど、私とパーティ組まない?」


龍太郎:「え?……なんで?」


カレン:「なんでって、普通にパーティのお誘いだけど。」


龍太郎:「いや、無理。」


カレン:「えー!なんで?」


龍太郎:「むしろ、俺をパーティに誘う理由がない。

 夢咲さんなら、頼めばどこかのパーティに入れてくれるんじゃないの?美人だし。」


カレン:「そうよ。

 頼まなくても誘ってくる人はいるわよ。」


龍太郎:「だったら、そっちでいいじゃない。」


カレン:「それがダメなのよ。

 ん〜……。わかった。説明するね。

 これから話す話は他では絶対に言わないでね。いい?」


龍太郎:「いや、そんな重要な話しなくていいよ。」


カレン:「いい?」


龍太郎:「はい!」


 つい夢咲さんの勢いに押されてしまった。

 聞きたくないのに……。


 それから、夢咲さんの話が始まった。


カレン:「私の固有スキルはね。【豪運】って言うの。

 聞いたことないでしょ。

 絶対に言っちゃダメだよ。」


 いや、知ってるし。


龍太郎:「ああ。どんなスキルなんだ?」


カレン:「私もまだよくわからないんだけど、運を引き寄せるって感じかな。」


龍太郎:「曖昧なスキルだな。」


カレン:「そうよ。ただね。

 たぶん、人よりも運がいいと思うわ。」


龍太郎:「どうしてわかるんだ?」


カレン:「えーっとね。

 昔、パーティを組んでた時の話なんだけど、迷宮型ダンジョンに行ったことある?

 そこにモンスター部屋ってあるじゃない?」


龍太郎:「ああ、迷宮型ダンジョンは、昔に数回だけ行ったことはあるよ。

 モンスター部屋は聞いたことはあるけど、遭遇したことはないな。」


カレン:「私はそれに1度遭遇したことがあってね。

 その時は全員がパニックになって、みんなが一斉に散り散りに逃げたのよ。

 私はその時、一番弱かったから、私だけ1人置き去りにされたの。ひどいわよね。

 でも、そのとき私は小さな穴に落ちて。

 人が1人だけ入れるくらいの穴ね。

 その中でやり過ごしたら、モンスターに襲われることもなく無傷だったのよ。

 それから、辺りが静かになったのを見計らって脱出して、なんとか1人で帰還したわ。

 協会に聞いたら、全員無事に生還したらしいんだけど、私以外のメンバーはすごい被害を受けたんだって。

 中には、もうエクスプローラとしての活動が出来ないくらいの致命傷を負った人もいたらしいわ。

 あまり、知りたくなかったんで、詳しくは聞いてないけど、そのときは逃げた罰が当たったんだと思ったわ。

 そもそも、その日は行きたくなかったんだけど、その時はパーティに入ってたからね。

 長くなったけど、これが一つの体験よ。

 もっと、他にもいろいろあるけど、また今度話すわ。」


 わー、きつい話を淡々とするなあ。

 でも、置き去りか。人間不審になりそう。


龍太郎:「確かによく生き残ったな。

 俺だったら、続けられる自信ない。

 ただ、そんな体験をしたのに、なぜ俺を誘う?

 ソロの方がいいんじゃないのか?」


カレン:「そうよ。

 だから、今までソロでやってきたのよ。」


龍太郎:「うーん。話が繋がらない……。」


カレン:「そうね。これじゃ繋がってないわよね。

 あとね、このスキルを授かってからは、なんかこうした方がいいとか、こうしたら良くないとかがなんとなくわかると言うか。

 そういうのが感覚でわかるのよ。」


龍太郎:「へえ。第六感みたいな?」


カレン:「うん。そんな感じ。

 でね。今日はなんか街に行った方がいいと思って来てみたのよ。

 私、この近所に住んでるのね。」


龍太郎:「俺もこの近所。」


カレン:「へえ。どの辺り?」


龍太郎:「〇〇町六丁目。」


カレン:「えー?そうなんだ!

 私もそこの五丁目だよ。

 なんで、今まで会わなかったんだろうね?」


 わ!夢咲さん!すごく近いよ!

 もう少し離れてくれー!ここ個室だから!


龍太郎:「ちょっと!夢咲さん!続きを。」


カレン:「あ!そうだね。

 でね。街に来てみたら、天堂くんを見つけたって訳ね。

 その時、天堂くんとパーティを組むべきって思ったのよ。

 不思議なんだけどね。なんでだろうね?」


龍太郎:「うーん。

 確かに理由としては成立してるかも。」


カレン:「まあ、そんなに難しく考えなくっていいよ。

 ダメなら、またソロに戻ればいいんだからさ。」


 豪運ってそんな感じなんだな。

 嘘は言ってるようには見えないし。


龍太郎:「言っとくけど、俺ってすごく役に立たないよ。大丈夫?」


カレン:「もちろん。自分でそこまで下げるの、逆に清々しくて信用できるかも(笑)」


 うん。なんか、ここまで言ってくれると俺も嬉しいかも。


AI:〈マスター!いいんじゃない?

 遅い春だよ。〉


龍太郎:『アイちゃん!そういうのじゃないから!』


 遅い春ってなんだよ!

 どーせ、友達ゼロだよ!


龍太郎:「じゃあ、俺からもよろしくお願いします。」


カレン:「うん、よろしくお願いします。」


 こうして、龍太郎は夢咲カレンとパーティを組むことになったようです。


 ◇◇◇◇◇

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