第2話 天の声?ボカロ声のAI?

 ◇◇◇◇◇


天の声:〈天堂龍太郎!〉


天の声:〈おい!天堂龍太郎!〉


龍太郎:「あ、はい。」


 あれ?夢の中か?

 それにしては真っ暗だな。なんも見えん。


天の声:〈いやー、2年間も待たせて悪かったね。

 でも、やっと実装できたぞ!

 超特急でやったけど丸2年かかったわ!〉


龍太郎:「あ、はい。ありがとうございます。」


 ん?なんのこと?


天の声:〈まあ、20歳の誕生日に間に合ったからギリセーフだよね。

 それと待たせたお詫びにサービスでAI《アイ》ちゃんを付けといたからね!〉


龍太郎:「あ、はい。ありがとうございます。」


 ん?ほんとにこの人何言ってんの?


天の声:〈よし!ほんじゃ、私は寝るからあとはAI《アイ》ちゃんに聞きなさいね。じゃあね。〉



 ◇◇◇◇◇



 ん〜。あ、やっぱり夢か。

 今は?0時3分……。3分だけ寝てた?

 その割にはスッキリした〜!


 それじゃ、もう一回やり直し!

 誕生日おめでとう!俺!

 ん〜!やっぱりケーキはモンブランだな!

 うーん、まい!



龍太郎:「……それにしてもさっきのあれ何?

 変な夢だったな……。

 やっと実装できた?って何?

 それに、AI《アイ》ちゃん?」


AI:〈はいはい!何?呼んだ?〉


 ん?


AI:〈今呼んだよね?マスター!〉


 ん?


AI:〈おい、マスター!無視するな!〉


 え?めっちゃ聞こえる。何これ?


龍太郎:「あのー。俺に喋りかけてます?」


AI:〈そりゃそうよ。他に誰がいるのよ!〉


龍太郎:「え?AI《アイ》ちゃん?」


AI:〈うん。そうだよ。〉



 ………………。(思考停止中)



 ハッ!何これ!?直接頭に入ってくる!

 ボカロ声のAI《アイ》ちゃん?


AI:〈あれ?マスター、僕のこと聞いてないの?〉


龍太郎:「あ、いや。聞いてる……かな。」


AI:〈むぅ?……なるほど。

 これは、ほぼ聞いてないね。

 じゃあ、自己紹介するね。

 僕は人工知能型ナビゲーター、個体識別番号Aー0001、個体名AI《アイ》なのです。

 この度、マスター天堂龍太郎の専属ナビゲーターになったのです。よろしくだぞ。〉


龍太郎:「あ、はい。よろしくお願いします。」


 わあ!僕っ娘か。緊張するなあ。


AI:〈マスター!硬いなあ。

 もっと気楽に話してくれていいよ?

 友達みたいな感じでさあ。〉


龍太郎:「そう言われても、友達いないんで……。」


AI:〈おっと、それは失礼。

 それじゃ、家族みたいな感じでどう?〉


龍太郎:「うーん。それなら、お言葉に甘えて。

 AI《アイ》ちゃん!よろしくね!」


AI:〈オーケー!よろしくだぞ!

 あと、声に出さなくても聞こえるからね。〉



龍太郎:「え〜!?それって俺が考えてることがわかるってこと?」


AI:〈いやいや、頭の中で僕に喋りかけた言葉だけ伝わるから大丈夫。

 そこは意識すればいいよ。〉


龍太郎:「ふう。良かった〜!筒抜けだと困る。」


AI:〈そうだね。そこは大丈夫だから。〉


 じゃあ、ちょっと試してみよ。

 AI《アイ》ちゃん。

 お!聞こえてないな。


龍太郎:『AI《アイ》ちゃん!』


AI:〈何?……あ、試したんだね。〉


龍太郎:『うん、そうそう。こんな感じかー。』


AI:〈で、なんか僕に聞きたいことある?〉


龍太郎:『えーと……そう!

 さっき、夢の中で話しかけられたんだけど、あれは誰?

 その時にAI《アイ》ちゃんのことも聞いたんだけど。』


AI:〈あー、それはマリアだね。

 システム側の人だよ。

 僕を造った人でもある。〉


龍太郎:『は?システム!?

 システムって何?』


AI:〈それはちょっと……教えられないね。

 極機密情報だからね。ごめんね。〉


 え?

 でも、あの声って砕けた感じだったけど、天啓の声に似てるなって思ったんだけどな。

 システム側の人?システム?

 うーん。訳がわからん。


龍太郎:『じゃあさ。やっと実装出来たって言ってたけど、あれは何?』


AI:〈ああ、それも聞いてないんだね?

 マリアらしいなあ(笑)

 優秀な人なんだけどね。〉


 マリアさん……。

 

AI:〈実装ってのはね。マスターの固有スキルのことだよ。

 すごく特別な難しい仕様だったから、マスターが18歳の頃にはまだ実装出来てなかったんだってさ。

 でね。マスターって、ちょっと特別っていうか、実は異世界とシステムがこの世界に介入してから一番最初に誕生した人間だったんだって。

 だから、スキルがちょっと特殊だったんだけど、なんとか20歳の誕生日をターゲットに超特急で実装しようっていう計画で頑張ったらしいのよ。〉


龍太郎:『ふーん、そうなんだ。

 でも、情報がいっぱいありすぎて、追いついていけない……。』


AI:〈はは、そうだね。

 まあ、ゆっくりでいいんじゃない?

 まずは固有スキルを確認してみれば?〉


龍太郎:『そうだね。じゃあ。』


 ステータスボード!


【個体情報】天堂龍太郎 20歳 人間族

【個体強度】レベル1

【固有超能】超能王スキルキング


龍太郎:『お!固有超能スキルが不明じゃなくなってるよ!

 って、ん?なんか大層な名前のスキルだけど、これって他人のスキルが視えるってことかなあ?そんな感じがするんだけど。

 AI《アイ》ちゃん!俺のステータスボードは見ることできる?』


AI:〈見えてるよ。良かったね。〉


龍太郎:『これってやっぱ、使っていくうちに使い方がわかってくるってことだよね?』


AI:〈もちろん、そだよ。〉


龍太郎:『だよねえ。』


AI:〈どんなスキルも最初からはよくわからないからね。

 みんなも頑張ってスキルを把握してるんだよ。マスターも頑張って!〉


龍太郎:『はい。頑張ります!

 でも、やっぱ嬉しいかも。』


AI:〈うんうん。わかるよ。

 それとね。そうすると自分以外の保有スキルが視られるのって、この世界でマスターだけだからね!〉


龍太郎:『え?やっぱそうなの!?

 でも、固有スキルの情報って結構出てるけど。』


AI:〈それはたまに自己申告したスキル情報が一般に出てるだけで、確認する方法はないんだよ。

 だから、真偽は定かではないよ。〉


龍太郎:『じゃあ、俺の固有スキルのことは秘密にしておいた方がいいよね?』


AI:〈そりゃそうよ。

 普通自分から言うもんじゃないし。〉


龍太郎:『だよね。

 あー、早くスキル使いたいな。』


AI:〈うんうん。スキルは使っていかないと把握できないからね。

 どんどん使って行こう!〉


龍太郎:『じゃあ、明日は、ああもう今日か。

 街で人間ウォッチングに行ってみよっと。』


 ◇◇◇◇◇

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