【超能王《スキル・キング》】－遅咲きの激ヤバ超能が墓場案件！？－

第1章 ファーストインパクト

第1話 底辺男・天堂龍太郎

　◇◇◇◇◇

　俺は天堂（てんどう）龍太郎。現在１９歳。独身。

　明日で２０歳になる。（彼女いない歴＝年齢）

　高校を卒業後に上京して現在は一人暮らし。

　一応、超能保有者（スキルホルダー）なんだけど……超能（スキル）は持っていない。

　矛盾しているが、それは事実なのだ。

　ステータスボード！

【個体情報（こたいじょうほう）】天堂龍太郎　１９歳　人間族

【個体強度（こたいきょうど）】レベル１

【固有超能（こゆうスキル）】不明（このスキルは現在使われておりません）

　はい、こういうことなんです……。泣ける。

　２０年前の大災害以来、１８歳の誕生日の午前０時になると一部の人間には天啓が降りてくるようになったんですよ。

　その確率はおよそ１００００分の１と言われている。

　多いような少ないような……。宝くじよりは当たる。

　ただ、みんな自分の１８歳の誕生日には天啓を期待してワクワクドキドキ。

　かくして、俺もその一人。

　天啓が降りて来た時には、そりゃもう飛び上がって喜んだよね。

　だって１００００分の１の確率を引き当てたんだから！選ばれし者！

　ただ、その後が良くなかった。

　見ての通りの結果でしたよ……。

　協会にも電話で問い合わせしましたよ。

　でも、よくわからないって……。

　今まで一度も確認されたことないって……。

　どういうことですか！

　だから、高校在学中はスキルホルダーであることを伏せてました。

　これは極秘情報として扱うんだ！

　なぜかって？

　そりゃ絶対にどんなスキルか聞かれるから！

　探検者（エクスプローラ）登録するかどうかも高校卒業までの間、すごく悩んだ。

　だけど、せっかくの夢を棒に振ることは出来ずに一大決心をして、上京後すぐに登録した。

　それから、異世界ダンジョンに潜ってモンスター狩りを約一年半頑張って来ましたよ。

　最初はビギナーということでパーティに入れてくれる親切な人もいたのですが、それ以降はもっぱらソロ活動です。

　なので、大したモンスターは狩れません。

　１年半頑張って、個体強度はまだレベル１。

　１つも上がってない。

　もうそろそろ上がってくれないかな……。

　めっちゃ頑張ってるんだけど………。

　あ。いろいろ考えてたら、もうすぐ０時。

　２０歳の誕生日もソロ活動だな（笑）

　今年も無事に誕生日を迎えられそうです。

　丈夫に産んで育ててくれた両親に感謝。

　それじゃあ、お気に入りの大盛りカップ焼きそばも食べ終わったし、コンビニで買って来たお気に入りのケーキで一人ぼっちのお祝いをしようじゃないか！

　さあ、カウント５秒前！

　4、3、2、1、ゼロ！

　２０歳おめでとう、俺！

　って、あれ？ヤバい！？まじヤバい！

　急にものすごい睡魔が襲って来た……。

　これは……もう無理。おやすみなさい……。

　◇◇◇◇◇

　この物語は、少しだけ未来の日本での話。

　◇◇◇◇◇

　現在から遡ることちょうど２０年前の出来事。

　俺の生まれた日にその大災害は発生した。

　世界各国の大都市に迷宮門（ダンジョンゲート）と呼ばれる異世界へと繋がる入り口が突如として現れた。

　まもなく、その迷宮門（ダンジョンゲート）からこの世には存在しない異世界生物が大量に発生し、多数の死傷者とともに、大都市を壊滅状態に追い込んだ。

　なお、諸説によると、大都市のみに迷宮門（ダンジョンゲート）が発生した理由として、その土地の持つエネルギーが大きいことが挙げられているが、真実は定かではない。

　日本では東京と大阪の２ヶ所で同時に発生。

　続いて名古屋、札幌、福岡、横浜の順で発生。

　自衛隊を持ってしても、鎮圧するのに１週間以上かかっている。

　世界的には迷宮門（ダンジョンゲート）は少しずつ増えているようだが、日本ではそれ以降の増加はない。現在も６ヶ所だ。

　ちなみにこれら６つのゲートは所在地から渋谷ゲート、梅田ゲート、栄ゲート、札幌ゲート、天神ゲート、横浜ゲートと呼ばれている。

　※世界探検者協会に登録されている正式名称は、日本第１〜第６ゲート。

　迷宮門（ダンジョンゲート）自体はそれほど大きくなく、壊滅状態にあった都市部は迷宮門（ダンジョンゲート）の周辺を除き、すでに再復興している。

　ただし、迷宮門（ダンジョンゲート）の周辺は、新たに国の関連施設が立ち並ぶ専用の区画となっている。

　大災害発生時には様々な問題によって大混乱を引き起こしたようだが、現在ではその対策や法整備も進み、落ち着きを取り戻している。

　なお、その後の研究で、異世界生物（通称：モンスター）の体内から取れる核（通称：モンスターコア）から超高濃度のエネルギーが抽出できることが判明し、化石燃料の不足を補う代替品として高値で取引されるようになった。

　さらに、一部の選ばれた人間は迷宮門（ダンジョンゲート）から異世界ダンジョンに入ることが可能であることも確認されている。

　この選ばれし者のことは超能保有者（スキルホルダー）と呼ばれる。

　どうも、この超能保有者（スキルホルダー）になると異世界ダンジョンに順応した体質に変化するとのことなんだが、そのメカニズムはまだわかっていないらしい。

　そして、その異世界ダンジョンの活用を国が管理するために完全国営組織である探検者（エクスプローラ）協会が設立された。

　超能保有者（スキルホルダー）は、探検者（エクスプローラ）協会に登録することで探検者（エクスプローラ）として活動することができる。

　要するに超能保有者（スキルホルダー）は探検者（エクスプローラ）となって異世界ダンジョンに入り、モンスターをどんどん狩って来なさい。

　そして、狩り取ってきたモンスターコアは強制的に高値で買い取るよ。という仕組みである。

　探検者（エクスプローラ）の異世界ダンジョン内での活動は自己責任ではあるが、それに見合った報酬があるため、ハイリスクハイリターンの一攫千金と地位と名誉のために登録する者は多い。

　ただし、もちろん保有スキルの内容によっては、探検者（エクスプローラ）登録しない者もいたりする。

　まあ、保有スキルも戦闘に役立つものばかりではないので、これは個人の自由だ。

　長々と説明したが、この現代社会に突然、異世界ダンジョンというものが現れ、それを生業（なりわい）とする探検者（エクスプローラ）という新しい職業が生まれた時代の物語である。

　◇◇◇◇◇