11.深雪

 英二郎からは、なかなか返信が来なかった。

 そんな時に、同窓会の案内状が届いた。幹事には川村伸郎、高山の名が記されていた。川村と高山は体も大きく、バレー部でキャプテン、副キャプテンだった。この二人に、柔道部主将の高石を加えた三人が、二十人足らずのクラスで中心的存在だった。支配していた、と言ってもいい。英二郎や相田は、本ばかり読んでいる内向的なタイプで、クラスでは軽んじられていた。この時代に良い思い出は少ない。

 そして、5月15日、英二郎から、

「よく考えて行動されたい。私は支持する」

旨の返事が来た。

わたしは、同窓会案内状の返信はがきに、出席と〇をつけて出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る