第24話
私は普段は淡々とこなしている仕事をニコニコしながら片付けている。その速度は普段の倍の速度だと思う。
というのも、先程、ロイズ君から王都行きの件を母親から了承されたと聞いたのだ。しかも、国王に面会するのだからと、礼装を着る必要があって、ロイズ君だけでは不仲だと思われるかもしれないから、私もお揃いでウルズ商会持ちでお抱えの服飾屋に依頼をして作ることになった。
王族や貴族に会うということだから、手土産というか献上品もウルズ商会が手配してくれることになった。
私は、献上品とか礼装関係とかは無頓着だったから、国王様との面談も、ただ手土産を持って綺麗めな服装で良いかなと思っていたけど、ロイズ君のお母様からは、
「確かに、貴族出身の転生者以外は別世界の知識しかないから特別扱いされて、批判はされないからそれでも良いと思うけどね。でも、貴女は国王様や王配様に少しでも好意を懐いているのでしょう?他文化の人に友好的に接しようと思っているのなら、相手の文化を少しでも受け入れようと振る舞うのが礼儀ではないかしら。」
お母様は、まぁ、今回は国王様側からの要請があって、急遽、準備に追われることになっているから少しは恩をきせても良いと思うけどね。とボソッと言っていたけど。
もちろん、私もウルズ商会からしてもらってばかりではない。何でもしてもらってばかりでは、嫁としての品格の前に、人間としての品格を問われてしまう。
王都までの馬車の手配やルートの設定などを王都にいる担当者と綿密に打ち合わせをしたり(今回は、国王様側からの要請ということで馬車は王族が使用する馬車や警備兵を迎えに寄越してくれる)、ウルズ商会の警備員や王都警備兵の連絡員と警備計画の打ち合わせをしたり、この世界のマナーをロイズ君の二人の姉から習っていたりした。
見合いのときにも聞かれたが、今回も、ウルズ家に嫁に来てくれるのかと聞かれた。
やはりこの世界は男性が相手女性の家に婿入りするのが一般的だ。
しかし、私は中学生の頃から、仲が良かった友達と一緒に、好きな男の子の名字を自分たちの名前と組み合わせてニマニマしていた過去を持つので、嫁入りを希望しているのだ。
そう言えば、その友人とは社会人になっても友達だったなぁ。
徳島さん(友人)は元気かなぁ?
結局、私もあの子も誰にも告白できなかったけどね。
お互いに恋愛に対してはヘタレでした。
私がこんなことになってショック受けたかな?
私がそんなことを考えていると、ノックされて、入室を促すとそこにはロイズ君が立っていた。
私が時計を確認すると、就業止めの時間になっていて、今日はロイズ君の家族と食事をすることになっていたのを思い出す。
そうだ。改めて、ウルズ家に嫁に行きます。って伝えておかないと!
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俺は、ボロボロの服を着せられ、荷車の上に木製の檻を載せた護送車の中で縛られて正座させられている。
俺は、日本からこの世界に転生してきた男だ。
スキルには恵まれなかったけど、身体能力はそれなりのものをもらえたので、勝手気ままに暮らそうと思ったらこの世界の女は、ろくな外見をしてやしねぇ。俺の周りには大学のラグビー部か?って感じの奴らしかいねえ。
それで、ある時、結構、可愛い転生者の女に能力を使って声をかけていたら、突然取り押さられて、官憲に捕まり、しばらく、牢獄に入れられていたら、過去のことを穿りかえされ、貴族の女に手を出していたことがバレてしまった。
そしたら、姦通罪だとか何とか言われて、こっちがオロオロしていたら、貴族の女が、この転生者が能力を使って私を騙したなんて言い出しやがった。まぁ、能力を使って騙したのは間違いないので、俺は素直に姦通したことを認めた。
そしたら、俺は鉱山送りになり、今はその途中だ。
クソっ!
このままじゃ、俺は鉱山で死んでしまうかもしれない。
どこかで逃げなければ行けない。
この護送車は結構、頑丈にできているらしくて見た感じでは壊れそうにはない。
これは鉱山に連れて行かれた後、うまいことを逃げるしかない。
これでもノイジィと言われていたんだ。喋ることができたら、いつでも抜け出してやるさ!
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