第15話

アキ・ナカムラ視点


私はくだらない話をしている男を横目に歩いている。


日用品を買うために一人で街に出て来たのだが、そこでこのナンパ男に捕まってしまった。

このナンパ男の名前は知らないが、

ただ転生者ということはさっきからべらべら喋っている自己紹介から分かった。

地球から転生してきた男、特に日本人男性は、この世界の女性は好みに合わないことが多いらしい。


この世界の女性はほとんどが体格が良く、日本人男性から見ると自分より背が高く、逞しいからというのが理由らしい。

転生者については、記憶が戻ったときに、転生前の容姿に近くなるので、男性はこの世界では背が高くなり、筋肉量が増え、この世界で言えば女性の容姿に近づく。


転生者の女性は、背が低くなり、筋肉量も減るのでこちらの世界では男性的な容姿になる。

転生者は神様や女神様に加護を受けているので、容姿に優れていることが多い。日本人男性転生者は、自分の好みに近い、日本人女性転生者を探してナンパみたいに話しかけることが多いという話があったのを転生したことを証明してもらっているとき学者が話していたのを覚えている。


私は今まで声をかけられたことはなかったけど、今初めて声をかけられてすごく迷惑をしている。


こいつは転生者なので、何らかの加護を受けているはずであり、下手に拒絶して暴れられると周りにも迷惑がかかるかもしれない。

周りには迷惑をかけたくないから強く拒絶することができず、こうして隣を歩かしているが、私としては不快極まりない。


私は足早に歩いて、突き放そうとするが、この転生者は体力に優れているらしく余裕でついてくる。


私は下手に自分の家や職場、友人、そして何より大切なロイズ君をこの男に特定されたくないので、家や職場に向かうこともできず、自分の生活圏内ではない道を歩いている。


少し前、聞いたことがある声もしたが、このナンパ男がどんなスキルを持っているのか分からない。変な能力で知り合いを特定されるのが怖くて、そちらには顔を向けることが出来ずただ前を向いて歩き続ける。

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