第11話

「方針その1、他の女性と仲良く話をしたらダメ!」


アキ組合長はそう言って泣きそうな目で僕を見てくる。

背は僕より少し高いぐらいだけど、上目使いで見てくるのが、可愛らしいと思う。でも、女性に可愛らしいなんて言ったら、人によっては怒られるので口には出さない。


「アキ組合長、僕は受付ですので、人と話す事と話すことが業務の一部です。商人の方のほとんどが女性です。しかも、ぶっきらぼうな話し方ではクレームがきてしまいますので、組合長の方針をに従うのは難しいかと思います。」


「うー、分かっているわよ。でも、ロイズ君が私以外の女性と仲良く話しているのは嫌なの!ロイズ君だって私が他の男性と仲良く話していると嫌でしょう?!」


母さんや姉さんたちは僕は独占欲が少ないと言っているが、見合いをして、相性を試している女性が他の男性と仲良くしているのは嫌な気持ちになる。しかし、さっき旅商人とは、僕も警戒もしていたし仲良く話をしていた雰囲気も出していなかったはずだ。


しかし、今の組合長には何を言っても通じないかもしれないので、素直に謝る事にしよう。


「確かに、僕もアキ組合長が他の男性と仲良く話していると不安になります。でも、僕も仕事をしないといけないのでそこは我慢していただきたいのですが?」


「大丈夫。そこで私はロイズ君を男性商人限定の受付にしようかと思うの。ほら、男性商人の方は女性受付と話すことが気になる人がほとんどだし、女性受付も男性商人がくると気にして受付をロイズ君に変わることも多いしね。」


僕はなるほどと思った。確かに少ないながらも男性商人は存在し、女性受付と二人きりになることは嫌がる傾向があるのは確かだ。


「わかりました。組合長が安心するなら、男性商人専用受付で問題ありません。」


そういって僕が男性商人専用受付を了承するとアキ組合長は安心したらしく嬉しそうに手を合わせ、笑顔を浮かべる。


「じゃあ、早速、ローズ副組合長には言っておくわね。」


そう言って、アキ組合長の方針についての教育は就業止めの時間まで続いたのだった。


その間、ローズ副組合長がちょくちょく組合長室を覗きにきたのは、アキ組合長が僕を襲わないかの確認だろう。


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