第4話
副業の場面を書いてみました。
なんか難しい。
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わたしは汚い路地裏を息をきらせながら走っている。
自分の肺に他人の汚物やゴミの臭いに充満した空気を入れたくないが仕方ない。
商会の隠し通路から最短距離で秘密裏にこの街を出るにはこの路地を通るのが一番なのだから。
この街を出て別の領主のところに行けば、この街の領主やその側近たちも口を出せず、わたしは別の街で再起できる。
別にわたしは領主に害を及ぼしたわけではなく、商人組合長になろうと画策ことや商売上少しだけ悪どいことをし、領法上スレスレのことをしただけでなので、領主も是が非でもわたしを捕まえたいわけではないはずだ。
絶対にわたしはこの街を出て別の場所で栄華を掴んでやる。
この街では、転生者が出てきたし、商売上悪名が高くなってきたので、私は就任予定だった組合長になれず、こうして裏路地を走っている。
実力も家柄も申し分ないから間違いなくわたしは組合長になれるはずだった。
転生者とか言い出した小娘が出てきたせいで!
わたしのやってきたことを悪どいと言いやがって、どんな商会だって悪どいことの1つや2つやっていたはずだ。それを善人ぶりやがって!
ローズのやつも、あんな転生者を推薦するなんて。
わたしがそう考えながら走っていると、路地裏の片隅に汚い格好の女が足を投げ出して座り込んでいた。見るも無惨な格好で汚い帽子をかぶり手入れもされていない伸びっぱなしの髪のせいで、顔は隠れており、起きているのか寝ているのかはたまた死んでいるのかわからない。
可哀想なやつだ。生まれてきて、旨い飯も暖かい部屋も与えられず、男の顔どころか声すら聴いたこともない女だろう。
まったく、わたしがローズや転生者にはめられず順当に生きていたらこんな奴は見ないですんだのに、気分が悪い。
わたしが無視して、横を通り抜けようとしたとき、前から浮浪者女と似たような格好をした奴が走ってきた。
「お母さん!食事とお薬を貰ってきたよ。親切な人がくれたんだ。」
わたしは警戒をして懐に隠していたナイフに手をかけたが、目の前の小汚い浮浪者はわたしを気にすることなく、座り込んでいる浮浪者に声をかける。
わたしは聴いた声に違和感を覚える。
この声は少女の声ではない。変声期前の男の声だ。何人かの変声期前の男の声を聴いたことがあるので間違いない!
わたしは瞬時に判断する。この浮浪者女は男の子供を産んだんだな。馬鹿な奴だ。男の子供を産んだら、数少ない男を無事に育てられるよう十分な生活費を領主から毎月もらえるのが一般的なはず、この浮浪者女はそれを知らないか。もしくは、領主に何らかのことで目をつけられ、生活費を貰えられない立場らしい。
これは良い機会だ!
この男の子をわたしの再起に道具にしてやる!
別の街に行って、その土地の領主や有力者に取り入るのに使っても良いし、最悪、わたしの子供として申請して生活費を貰っても良い。
どう転んでも、わたしには得しかない!
そうと決まれば、わたしはその子供に声をかけようと近くによる。
「君!ちょっといいかい?良ければわたしが、君のお母さんを医者に診せようか?」
そう言ってわたしが子供の近くによると子供が素早い動きでわたしに近づいたかと思うと、
わたしは両足に焼け付くような痛みを感じる。
下を見ると、わたしのズボンの太腿部が真っ赤に染まっている。
「やれやれ。そのまま走り去って行ったらどうしようかと思ったよ。」
浮浪者の子供が手にナイフを持ち、無邪気に微笑む。
「あぁ。この座り込んでいる人はお母さんでも何でもないよ。そこらへんで拾ったゴミや木材に用意した服やかつらを被せて人っぽくみせただけさ。焦っている貴女だから注意深く見ないし、元々浮浪者なんて気にもしていないだろう?」
この子供は人を傷つけておいて、何でもないように冷静に話している。何て奴だ。わたしは痛みこらえながら地面を這って少しでも遠くに行こうとする。
「大腿部の動脈は間違いなく損傷しているからね。貴女はここで出血多量で死ぬ。」
わたしの背後に子供は話しかけているのだろう。ゆっくりと声が近づく。
「言っておくけど、僕は貴女が殺される理由は知らないよ。僕は依頼人には会っていないからね。お互いの安全上、仕組み的に依頼人には会わないようになっているし、殺す関係上、僕は余計な事は聞かないからね。ただ、貴女をできるだけ汚い状況で殺してくれと仲介人経由で頼まれているんだ。」
くそったれ!わたしがこんなところで!しかし、わたしの意識は遠のきかけている。
「貴女はよく有力者の会合で、自分は高価な物しか身に付けないって言っていたらしいね。残念だけど貴女が最後に身につけるものは、安物でどこにでもあるナイフだよ。脇腹から心臓まであたるように挿し込んであげるからね。」
左脇腹に痛みを感じたかと思うと何も考えられなくなった…。
僕は倒れたままボルツマン商会会長にゴミや木材にかけておいた衣服を被せて、かつらは自身でかぶり浮浪者女の格好で通りに出た。
この世界では男が1人で歩いていると目立つが、女それも浮浪者をジロジロ見たりしない。僕はいつもどおりの道を歩き、領主騎士団の駐屯施設まで行った。
そうすると門から面倒くさそうに、軽鎧をきた女騎士が出てきて僕に声をかける。
「またお前か!いつも食料をわけてやるからって正門にはくるな裏門に行け!そこで食料を配給する。」
そう言って、僕を誘導するために近づく。女騎士は僕に近づくと周囲を確認し、周りに聴こえないようにかすかな声で話しかける。
「首尾はどうだ。うまく殺ったか。」
「あぁ。ステファン通りに面した狭い路地で死んでいるよ。」
「そうか。いつもどおり配給品の中に残金を入れておいたから持って帰れ。」
そう言って、僕に配給品を渡す。
この女騎士はある程度、僕に信頼をおいているのか、僕のことを嗅ぎ回ったりしない。僕は配給品を
抱えてそのまま裏通りに向かった。
その背中に女騎士が声をかける。
「今度、来るときは裏門にこいよ。野良猫。」
僕は副業で歩くときは、いつも浮浪者の格好をしているので通り名は野良猫という殺し屋だ。
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残酷でグロな描写にならないことを目指して書きました。
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