お返事
「よし。じゃあ決まりだな」
凛斗によるその一言で場の空気は〆へとシフトされた。
「俺はまだ大学に残るけど、杏はどうする?」
「アタシは凛斗に付き合うよ」
「オッケー。達平はどうする?」
俺は今日はもう帰ろうかな。
ミクルさんとのコラボを取り付けられて今非常に満足しているので、ここでいい感じに終わらせたい。
良い1日だったなぁー。って思いながら帰るのって充実感があって良いでしょう?
「俺は帰るわ。お2人は何するのか知らんが楽しめー」
「了ー解」
「アタシたちは2人でいるだけで楽しいからね」
おうおう、お熱いこって。
「ミクルさんはどうします?」
「私はこの後授業があるので大学に残ります」
「そうですか。ではここで解散かな?」
ミクルさんは授業。カップル2人は何か用事。俺は帰宅。皆やることが違う。
俺はなんとなく凛斗の方を見てみる。なんだかまとめてくれそうなのだ。
「そうだな。じゃ、ここで解散ということで」
「じゃ、俺は帰りますねー。お疲れ~」
俺はその場にいた3人に手を振って歩き出した。
大学から離れ、最寄り駅へと歩いて行く。
今日はなんだか満足した。
同じ大学内に配信仲間がいただけでなく、その人のことを俺が認知していたというのもまた珍しいことなのではなかろうか。そしてコラボまで取り付けるなんて俺にとっては良いことづくめである。
気分上々に改札を抜け、電車の到着を待つついでにスマホを開いてSNSのタイムラインを見て暇を潰す。
そこには色々な呟きが投稿されていて面白い。
「お、カラメさん今度コラボするのか」
タイムラインを漁っていると蛇陀カラメさんの投稿が目についた。どうやら明後日に同じ事務所のVtuber、『
明後日に楽しみが1つ増えたな。なんて考えていると、唐突に俺のDMに通知が来た。
何事かとすぐにDMを開いてみると、通知を知らせる赤いマークが『れもねぇど』と書かれたアカウントの所にあるのを確認する。
返事が来た。
その瞬間、俺の心拍数は一気に跳ね上がった。
やばいやばいやばい。めっちゃ怖い。
断られたらどうしようとかそう言うことではない。
俺の好きな絵師さんと関りを持ったという事実が漠然と俺の心臓を縛り付けている。
流石に電車の中でこれを見るのはTPOに反するような気がするし、そうでなくとも自分が納得がいかない。そしてこの緊張感は自宅でないとヤバそう。もし電車内で俺のSAN値が減って奇行に走ったりしたら目も当てられない。
電車よ、さっさと来い。
そして俺をさっさと家に帰せ。
そんな理不尽なことを思いながら、帰宅まで気が気でない時間を過ごした。
▼
そんなこんなで自宅へと戻ってきたわけであるが、俺はすぐにパソコンを起動しDMを開く。
スマホで見た時は通知マークがれもねぇど先生の所にあることだけを見た瞬間に閉じてしまったのでどんな文が送られてきたのかは見ていない。
「あーこわ」
そう呟きながら俺は恐る恐るDMを開いた。
するとそこにはこのような文章が綴られていた。
『ご依頼ありがとうございます。詳細な依頼内容を確認したいので、お時間がありましたらご連絡いただけると幸いです』
「……第一関門クリアって感じ?」
この文から察するに、もっと詳しく依頼内容を聞かせてくれたら内容次第では受けてくれるということだろう。
ちょっとテンション上がってきたな。
これに対して俺がする返事は明白だ
『お返事ありがとうございます。詳細な依頼内容とのことでしたので、現時点で私の考えていることでしたら以下の通りです。
・予算は最初に提示した額以内であること
・男性キャラクターの立ち絵であること
・期限はいつでも良いが、可能であれば半年以内が良いこと
この条件でお引き受け頂けるのであれば私としては言うことはありません』
ぶっちゃけ引き受けてくれるだけで俺は有頂天なのでもう何も求めやしないし、バ美肉であっても何も文句は言わないが、詳細な依頼内容と言われるとこんなところだろうか。
図々しかったりしない?大丈夫?
相手からしたら全然必要なことだったりするよね?
何か粗相をしていないか非常に心配になる。
めっちゃ不安だ。
そう思っているとすぐに既読がいた。
そして次の瞬間には返信が来ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます