9枚目『秋色に染まって ―旅の途中・キンモクセイ―』

 緑の勢いが衰えて、暖色に染まりゆく季節。道を歩いていると、何処どこからか甘いかおりが運ばれてくる。


 秋風に乗ってきたであろう香りの元を辿たどる。風上に向かって歩いて行くと、その香りを発している植物が現れる。


 樹の正体は、キンモクセイ。小さな蜜柑みかん色の花を付ける、秋を告げる樹木だ。今まさに満開となって、甘い香りを辺りに振りまいている。その香りは、昔を想起させてくれる。


 少年の頃は、という青春にしていたものだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る