かぐや姫
おじいさんが竹を切りに行ったところ、白く光り輝く竹を見つけた。
「おおこれは・・・白色LED?!」
おじいさんはその部分を切って家に持ち帰った。ランプ代わりにいいかなと思った。
そしておばあさんに見せる。すると中に小さな女の子がいた。
「おじいさん、この子を二人で育てましょう!名前は”かぐや”」
おじいさんとおばあさんの間に子供がいなかったため、二人は愛情を注ぎかぐやを育てた。
そして15年の月日が経った。
かぐやはタウンワークを見ながらバイトを探していた。かぐやには好きな人がいる。
おしゃれをしたい年頃だった。
すると突然の来訪者が訪れる。
コンコン ガチャ
「こんにちは。月の使者です。かぐやをもらいに参りました」
かぐやは戦慄する。また月に帰らないといけないのか・・・毎日健康のためにオートミールが出されるのだ。正直不味い。白米のほうが数倍マシだった。
「私、月に帰りたくありません!じぃじとばぁばの元にいます!」
「かぐや様、わがままを言ってはなりません。あなたが月に戻るのは確定事項です」
そのやりとりを見ていたおじいさんとおばあさんが声を上げる。
「かぐやが嫌がっているだろう!それにかぐやは私たちの子だ!お前の思い通りにはならんぞ!」
「そうです!かぐやは私たちの子です!月の使者さん帰ってください!」
「・・・なら力づくでも連れ返すまでだ。お前ら連行しろ」
「はっ!」
月の使者の兵士たちがずかずかと家に入ってくる。
「貴様ら表へ出ろ。わしが相手をしてやる・・・かぐやはそのまま家にいなさい。この家は核爆発にも耐えられるシェルターでもある。ここに居れば安心だ」
「じぃじ!」
おじいさんの態度を見て月の使者が言う。
「ほう・・・我々に歯向かうのか?たとえ老いぼれでも容赦はせんぞ」
「ふん、歳はとったがこの剣が鈍ることはない。見せてやろう・・・約束されし勝利へ剣<エクスカリバー>の威力を・・・!」
「まさか、お前は月面大脱兎戯画大戦の生き残りか・・・?ならばこちらも都合がいい。忌まわしい記憶は今ここで途絶えるのだ」
「いくぞばあさん、我々のレゾンデートル(存在理由)を示すために!」
「はい!絶対にかぐやを守ります!」
すると一斉に兵士たちが襲い掛かってきた。おじいさんは抜刀の構えを取る。
「頼むぜエクスカリバー・・・再抜剣!放牙天臨<ピアッシングバスター>!」
「グワーッ!」
多くの兵士が一斉に吹っ飛んでいく。おじいさんはニヤリと口元をゆがめた。
「まだまだ行けるぞ。わしの力はこんなものではない」
「チェンジ!プリンセスフォーム!」
おばあさんの身体を光が包む。そして0.05秒で変身が完了した。その姿はどう見ても20代前半のぴちぴちギャルだった。湯上りたまご肌である。
おじいさんの一騎当千が始まった。多くの兵士たちが群がるが正直相手にならない。
おばあさん(否、おねえさん)の支援も完璧だった。
「ヒール!ヒール!ハイヒール!」
おねえさんのヒールコンボだ。これでおじいさんが倒れることはない。
「あのヒーラーを叩け!支援職だからDEFは低いはずだ!」
兵士たちが一斉におねえさんに襲い掛かる。おじいさんはその様子を横目で見ていた。
「ふふっ、飛んで火にいるなんとやら・・・止められるものなら止めて見せて!」
足元に巨大な魔法陣が展開する。月の使者は焦った声を出した。
「お前ら!今すぐそこから退け!大魔法がくるぞ!」
「もう遅い・・・!轟け咆哮!ロードオブヴァーミリオン!」
「「アイエェェェェ!」」
兵士たちが一斉にYour Diedした。死屍累々が広がっていた。
その様子を見て月の使者は明らかにイラついていた。
「こしゃくな・・・ならばこの私が相手になってやろう!いくぞ!」
月の使者がおじいさんに襲い掛かる。二人は一進一退の攻防をを繰り広げていた。
そして一瞬の隙をつき、おじいさんが超必殺技を決めに行く。
「絶対王剣<ミリオンエクスカリバー>!!!」
その攻撃は確実に月の使者に入った・・・ように見えたのだが・・・
おじいさんは月の使者の攻撃によって吹き飛ばされる。おねえさんは防壁を張り吹き飛んでくるおじいさんを支えた。おじいさんは呟く。
「絶対王剣<ミリオンエクスカリバー>が完全に入ったのに・・・」
「クククッ・・・これがゲージMAX技だと?笑わせるな」
月の使者はほとんどダメージを受けていなかった。もしやエクスカリバーが通用しない相手なのだろうか?そうなればもうおじいさんに打つ手はない。
月の使者はゆっくりと右手を挙げデスボールを作成し始める。
「士郎・・・お腹が空きました・・・」
なんというタイミングだろうか。おばあさんの変身が解けてしまう。プリンセスフォームになるとハラヘリ度が4倍速くらいになるのだ。ちなみにおじいさんの本名は士郎である。
「二人まとめて月より高い場所へ逝くんだな!死ぬがよい。そしてさようなら」
おじいさんとおばあさんは覚悟を決める。二人は抱き合い、最後の時を迎えようとしていた。
その様子をかぐやは見ていた。このままでは二人とも死んでしまう。その時脳内に声が響く・・・
・・・力が欲しいか?
「誰?!・・・私は力が欲しい!二人を護る力を!」
・・・ならばくれてやる。”絶対皇帝”の力を!
直後、かぐやの体が光に包まれれる。そして・・・
迫りくるデスボールの前を一閃の光がさえぎった。眩しすぎて目を開けていられない。
やがて・・・おじいさんとおばあさんが目を開くと、そこには武装した少女が立っていた。
絶対皇帝変異<アブソリュートインペリアルミューテーションかぐや>の誕生である。
「月の使者・・・もう容赦は致しません・・・!おとなしく引きなさい!」
「これはこれは”絶対皇帝”の力を手に入れましたか・・・なるほど」
そういって月の使者はほくそ笑んだ。その様子を見たかぐやは声を荒げる。
「何が面白いのです?!」
「・・・いえ、もっとかぐや様のことが欲しくなりましたよ。あなたが私と一緒に来るというならあの二人は見逃してあげましょう・・・どうです?悪い話ではないと思いますが」
それを聞いたおじいさんとおばあさんは焦る。かぐやが月に行ったとして、ただで済むとは到底思えない。
「かぐや!わしらのことは気にするな!自分の存在理由を示してくれ!」
「じぃじ・・・私・・・」
かぐやは戦闘態勢をとった。それは戦う意思を示すことに他ならない。
「聖剣ラグナロク・・・そして究極兵器アルテマウェポン・・・これなら!」
右手にラグナロク、左手にはアルテマウェポンだ。強い二刀流である。
「ふん、ラグナロクはオンラインだけで十分なんですよ!こうなれば力づくで月に連れていく!覚悟しろ」
二人は亜音速でぶつかり合う。その衝撃が地面にいる二人にも伝わってきた。目で追うのが精一杯だ・・・!
やがて激しい打ち合いのあと、かぐやの右手のラグナロクがはじかれてしまう。
「きゃあ!」
そのまま左のアルテマウェポンでなんとか攻撃を防ぐが・・・
「いかん!」
地面にいたおじいさんはおばあさんにウイダーインゼリーを差し出した。
「これでもう一度変身してくれ。そしてこのエクスカリバーをかぐやに託す!」
「・・・ゴクゴク。10秒チャージ!チェンジ!プリンセスフォーム!」
おばあさんはもう一度おねえさんになる。変身時間は約0.02秒。記録更新だ。
おじいさんがエクスカリバーを実体化させ、かぐやに向けて標準を定める。
おねえさんの魔力で音速で打ち出すのだ。そして・・・
「かぐや!これを受け取れー!」
それは刹那の輝き。そう、たとえるなら・・・”閃光のように”
かぐやはおじいさんの声を聞き、音速で迫りくるエクスカリバーを受け取った。
その様子に月の使者が一瞬怯む。かぐやはその隙を見逃さなかった。
「今こそ勝機!星光連流撃(スターバーストストリーム)!!!」
それは双剣の隠しスキル。流星のような斬撃が月の使者を襲う。
目にも止まらぬ速さで50コンボになった。
「ぐおおおおー!」
月の使者はバラバラになった。その破片を月の兵士たちが持ち、月へ帰っていった。
この戦いの幕が閉じたのだ。
そして3カ月後・・・
かぐやは本屋さんでアルバイトをしていた。バイトの先輩のマチちゃんと一緒のシフトだ。
すると一人のイケメンが店内に入ってくる。それを見たマチがかぐやに詰め寄った。
「かーぐやっ!今日も黒鉄くんきたよ!今日こそLINE聞いてきな!こっちの業務は私がやっとくからさ!」
そういってかぐやにホコリをポンポンするやつを渡した。そうしてかぐやは黒鉄の行った本棚に行く。そこには小難しい分厚い本がたくさんあった。
さりげなく近づいていく。すると黒鉄がかぐやに向き言った。
「あの、かぐやさん・・・」
「えっ・・・どうして私の名前を・・・?」
「その・・・俺と・・・」
その時、入口付近から爆発音が響き渡る。そうして黒鉄とかぐやのところに男が近づいてきた。
「やはりここに居たか、かぐやよ!インスタグラムで見たぞ!」
「あれは・・・サイボーグ月の使者?!」
マチと一緒に休憩中に自撮りしてインスタにアップしたのが間違いだった。
ここの制服を見て気づいたんだろう。
「(ここで絶対皇帝の力を使ったら黒鉄くんに嫌われてしまうかもしれない・・・。でも彼を護るにはこれしかない!」
そう思い、一歩前に踏み出そうとしたとき黒鉄が手で制した。
「かぐやさん、俺の後ろにいて。一撃でケリをつける」
そういって黒鉄は戦闘態勢を取る。
「第666拘束機関解放、次元干渉虚数方陣展開!見せてやるよ、『蒼』の力を!蒼の魔道書(ブレイブルー)、起動!」
「このディストーションドライブは”ブラッドエッジ”?!」
そして襲い掛かるサイボーグ月の使者に向かっていく。目にも止まらぬ速さで決着がついた。
「グワーッ!」
今度こそ月の使者は完全に消滅した。
そして改めて黒鉄がかぐやに向き直る。
「かぐやさん、俺とLINE交換・・・してくれませんか?」
「は、はい!ぜひ!」
その様子をマチは優しい目で見つめていた。月の使者が迫っていたのを知ったおじいさんとおばあさんもその現場にかけつけていた。
「あんな若造、わしのエクスカリバーで・・・」
「士郎、あの人はかぐやを守ってくれたのよ?素直になりなさいな」
そうしてかぐやのドキドキの高校生活が始まる・・・!
おしまい
童話シリーズ 天然由来 @atenate
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