第7話 堺町と皇学園と柊治人③
お弁当を分けてもらって、ごちそうさまをしたら、至れり尽くせり、お茶まで出てきました……司書室のポットを使って。もうね、自由です、この部屋。もう一回膝枕してくれないかな、黒木さん。あ、でも、陰キャが調子にのるのはダメ、滅びるから。
「あれ? そういや、まだ聞きたかったことが残ってるんだけど、黒木さんは僕のこと知ってたんだよね?」
「うん、柊外交官から聞いてたから」
「教室で、初めて会ったとき、なんで初めてみたいなフリをしたの?」
「──そんなの、みんなの前で、出きる筈ない」
めっちゃ赤面でモジモジしてらっしゃいます! 悶えすぎです黒木さん! いったい何をする気だったのか、めっちゃ知りたい!
そしてヤバイぞ僕!調子に乗りすぎだ! 滅びるぞ、止まれ、僕!
「それと、僕が黒木さん……あ、以前は名前知らなかったんだけどさ、黒木さんの姿を知ってたのは、ひょっとして夢を見させてくれたから?」
「今朝の夢なら、そう」
「……どうして保健室だったの?」
「保健室が良かったわけじゃなくて……その」
「その?」
黒木さん、ずっと太ももをモジモジさせてるんだもの! こっちも、ちょっとサディスティックな気持ちがムクムクなのです。陰キャでも健全な男子高校生なのです! マジで滅びるかもしれないけど、カッパえ○せんなのです。
「今まで私に関わった男性、みんな体に触れようとしたけど……柊クンは違ったの。体じゃなかった。私のいろんなところに目を向けてくれた。予知夢だったけど、些細なことだけど、すごく嬉しかったから──知ってほしくて」
やっばい。
すんごい、色っぽくなった。
っていうか、服脱いでないけど、魅了発動してんじゃないの、これ!?
「さ、お茶もいただいたし、午後は教室戻ろうか。僕 、まだみんなに挨拶してないからね」
「教壇で、してたよ?」
「個々の親交を深めるのも大事、かな?」
「自称陰キャ、じゃなかった?」
「え、えぇっと」
「お弁当、いっぱい食べてくれてありがとう。次は私の番」
アーモンド形の大きな目が──あ、体、動かない!
「あやかし耐性高めるって言ったの、嘘じゃないよ? でもね、高めるだけなら、私のを飲ませるだけで良かった」
耐性、ついたんじゃなかったの、僕!
指一本動かな──あ、動い──ちがぁう! 抱き締めるんじゃないの!
「触れたらね……痺れちゃったの」
「舌を絡めたらね……脳から尾骨まで光が走ったの」
「柊クンのをね、お腹に流し込んだら……今までずっと苦しかった体の冷えが、治まったの。指先にまで温もりが届いたの」
こういうときは──お役に立てて光栄です、かな?
「だからね、柊クンを……ちょうだい──ちゅっ っううんはぁぁぁ♪」
また、びっちょびちょに、なりました。
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