天使の梯子

@HARUKA_MUTUKI

第1章 純白の少年 第01話 目覚め

私が初めて意識を持ったのは3歳の冬の日だった

母に起こされてゆっくりを意識を覚ます、体が重かったのを覚えている。

「おはよう」と意識すると母が反応する、私は言葉を発したようだ。

そこは、田舎の駅と駅の間にある2Kの小さな社宅だった。そこは、上の階に年下の女の子が住み、駄菓子屋と肉屋と魚屋が近くにある住宅街だった。そして、私が唯一子供で居られた場所だった。


その日は幼稚園に入学する書類の申請日だった、車に乗りこみ母と外出する。雪が残っていた、その柔らかそうな印象に反してザクッと立てる音の対比に驚いた。

十字架が見えてきて、その駐車場に止まる。車の中で教会備え付けの幼稚園と積もった雪を眺めていた。しばらくすると母が帰ってくる。

「僕は雪が好きになったよ」

「私は嫌いだよ、出掛ける日に限ってこんなに積もるんだから」

初めて好きになったものをいきなり否定されるとは、「らしい」人生だと思う。


私は昼寝をしない子供だったので帰ってからはビデオを見る日々だった、アンパンマンやNHKを見るのが好きだった。見続けて日が落ちると、やがてインターフォンが鳴る。あの男が帰ってきたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る