3分で書いた小説

ひまり

貴方のことが

『ねー。実子みこちゃん』

『はい』


この人は優しい。


『すき……だよ』


だから好きになれない。


        ◻︎▪︎◻︎


「ねー。実子、許嫁とはどうなの?」

「まーまー」


「まーまー」抽象的で無責任な言葉。私の十八番相槌だ。

私は、この言葉を非常に乱用する悪癖がある。


「あーあー。美女がイケメンとうまくいっているってかぁー!世の中不公平だぁ!あたしにも彼氏を!」


私の通う高校のクラスの中、目の前で、青坂天乃あおさかいみのが厚くて妖艶な唇を尖らせていう。


「あ、赤坂あかさかさん!ノート回収してもいい?おい、青坂もとっとと出せ。俺は急いでんだよ」

「お前!赤坂さんと喋りたかっただけだろ!」

「というか、大した用もないのに赤坂さんに話すとか」

「は!?あたしは!?」


突然割り込んできた男たちに青坂が綺麗な指を立てながらいう。━━ちなみに真ん中の指。


「ったく!アンタ!実子!羨ましい……」


こいつは優しくない。

誰もが私のご機嫌取りをする歪んだ世界の中で唯一。


「死ねェ〜!」


だから私はこいつが好きだ。



↓代表作です。よかったらどうぞ。

https://kakuyomu.jp/my/works/16817330651292231141

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3分で書いた小説 ひまり @ergot

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