第10話王都
長い間馬車に揺られていたがやっと王都が見えてきた
王都は大きな壁に囲まれており見るものに威圧感を与える
やはり男爵領と王様のお膝元では大きな差を感じる
こうして王族は貴族たちが変な気を起こさないように力の差を見せつけているのだろう
王都に入る唯一の出入り口の前である門には多くの人が並んでいた
しかし僕は貴族なのでその列には並ばずに優先的に門を通れる
「はい、ではお手数ですがお名前を名乗っていただくのと馬車の中身の検査をさせていただきますね」
「僕の名はケムル・フリーエルです」
そう名乗った瞬間確かに門番の目に嘲りの色が宿った
「王都には何をしに?」
「今年で15になりましたので学園に通いにきました」
「そうですか、馬車の中身については問題ありません
お通りください」
門番ですらフリーエリの名前を聞いた瞬間こちらを見る目が変わるのには少し驚いたが、腐っても貴族でありあちらは門番という身分の差があるため表には態度を出さなかったが、今からこれではこの先が思いやられるな
王都の風景はやはり人でごった返していた
中世ローマぐらいの世界観だったため衛生面が不安だったが街並みは思っていたよりも綺麗でどうやら杞憂で終わったようだ
やはり魔力なんて便利なものがあるぶん進化の方向性が違うだけで十分発展した世の中なのかもしれない
思考に耽っているとこれから生活する学生寮についた
「おお、ここで生活していくことになるのか」
寮はまず貴族用と平民用に分かれており、そこからさらに男子寮と女子寮に分かれている
貴族用というだけあってか外観は綺麗にされており、中も広そうだ
とりあえず自分の部屋にまでいき荷解きを行った
明日には学園でクラスを分けるための試験が行われる
クラス分けの前に試験があるのはそれぞれの能力に応じてクラスに割り振るためだ
そんなことをする理由は貴族と平民では学園に入る前の教養に大きな差があるためだ
平民だと文字すら読めない者も一定数いると聞く
流石に貴族からするとそんなとこから始めても仕方がないのだ
そこで僕は一番上であるAクラスを目指している
フリーエリのものとしてはそれぐらいはしなくてはならないだろう
そうと決まれば、明日に備えて今日は早めに眠っておくことに決めた
翌朝
僕は試験に行くために寮をでて試験会場に来ていた
「では、これから試験を始めるまずは筆記試験だ
制限時間は一科目1時間ずつとする、では始め!」
筆記試験は歴史、数学、魔学、国語がある
魔学とは魔術関係や魔力関係を取り扱っている学問だ
これらは問題なく終わらせることができた
ケアレスミスがあったとしても9割は堅いだろう
筆記試験が終わると次は実技だ
「これから実技の試験を始める
それぞれ担当官と模擬戦を行なってもらい審査をする
それではそれぞれ担当官の元へ行くように」
僕の相手は気の良さそうなおっちゃんだった
「へー、あの噂のフリーエリ家の方ね
お噂はかねがね聞いてるよ家系魔術が弱いのは気の毒には思うけど試験はあくまで公平にするからね」
随分あけすけに話す人物のようだ
「はい、問題ありませんいつでも始めてください」
「そうかい?では今から試験開始だ」
相手はまず小手調べとしてか、火の球を三つ放ってきた
それを僕は魔力にものをいわせ広範囲に火の魔術を発動した
発動した火は火の球を飲み込みそれでも勢いは衰えずさらにそのまま試験官をも飲み込もうとする
それを相手は剣で切り裂いてみせた
「おおー、すごい魔力量だねそれに周りには被害が出ないようにしたんだね魔術のコントロールも悪くない
じゃあ、次は剣の腕を見せてもらおうかな」
そういった試験官はまっすぐに切り掛かってきた
それを難なく弾き相手に反撃するが、相手の戦闘スタイルは僕とは違い剣だけでなく盾も持っており防御面に安定感があるため簡単に盾で受け止められ
さらにはそのまま盾で体を押してきた
そのため僕はバックステップしたと思わせてから相手の視界から入らないように盾を持っている方に体を寄せそのまま切り掛かった
「うお!」
しかし、流石は試験官とだけあってかそれも防がれてしまう
「終了!お前の実力は十分にわかったこれ以上は俺も本気を出さざるおえない
いやー、正直ちょっと舐めてたぜていうかお前は学生のレベルを超えてないか?
こう見えても王都では結構名の知れた冒険者なんだがな」
「実家でかなり鍛えましたからね、今日はありがとうございました」
「じゃあ、試験はこれで終了だ結果は入学式の時にわかるから今日は寮に戻りなさい」
「わかりました」
こうして僕は入学試験を終えた
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