第43話 決着!そして大物登場!
エンバーとの戦いに決着がついたかと思えば、現場に騎士団のトップであるジェディール騎士団長がやってきた。
「やれやれ……学園の象徴ともいうべき歴史ある時計塔をこんな姿にして……これだけでも十分罪に問えそうだな」
「つ、罪……?」
騎士団長の口から飛びだした思わぬ言葉に、みるみる青ざめていくエンバー。
おまけに、さっき他国と要人とのかかわりについて自白したものだからそれについての追求も待っているだろう。
だが、ここでようやく少し冷静さを取り戻す。
「ま、、待ってください! なぜ騎士団長ともあろうお方がこのような場所に!?」
「おいおい、何を言っているんだ。あんな巨大なモンスターが出現したのに黙っていられるわけがないだろう?」
「い、いや、そんな……」
動揺を隠せないエンバー。
たぶん、今回の作戦のために騎士団にも根回しをしていたはずだ。実際のところどこまで話が浸透しているのかは分からないが、少なくとも騎士団トップにいるジェディール騎士団長は知らなかったみたいだ――って、そんなことあり得るのか?
もしかしてこの人……根回しを受けたフリをしてエンバーを誘いだしたのか?
「それにしても驚いたよ。まさかあの巨大なモンスターを呼びだしたのが今何かと話題のログナス家ご子息殿であったとは」
「っ!? い、いや、それは――」
「さっきも言ったが、詳しい話は騎士団の詰め所でじっくり聞かせてもらうよ。じきに部下たちがこちらへ到着するから、それまで大人しくしていなさい」
「う、うぅ……」
最後の方は声色が低くなり、怒りの感情が透けて見えた。エンバーもジェディール騎士団長の本気ぶりがのぞいたことで観念したのか、その場に膝から崩れ落ちた。
「君もよく戦ったね。ラトアが一緒だったとはいえ、あのバケモノを相手に最後まで生き延びるとはたいしたものだ」
エンバーに抵抗の意思がないと見たジェディール騎士団長の関心は俺へと移っていた。
「い、いや、そんな、無化夢中で……」
「それだけでは生き残れないさ。絶対に生きてやるという強い執念に加えて確かな実力がともなわなければね」
真正面からジェディール騎士団長に褒められ、俺は思わず照れ笑いを浮かべてしまう。
何はともあれ、とりあえず事件は無事に解決したようだ。
しばらくして応援の騎士たちが大勢駆けつけると、俺はエンバーを彼らに任せてジョエルのもとへと急いだ。
「ジョエル!」
イスナーとブロードを引き連れ、騎士団から事情を聞かれているところへ駆け寄っていくと思わずその名を叫んでしまう。
俺の声に気づいたジョエルは、
「あっ! ハイン!」
同じように名前を叫びながら走りだす。
そのままお互いが生きている事実を噛みしめるように抱き合った。
ひとまず一件落着――かな?
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