第38話 ジョエル参戦
「ジョ、ジョエル……おまえ」
「僕も見ているばかりは性に合わないタチだって知っているだろう?」
俺を助けてくれたのはジョエルだった。
かつて、ダンジョン探索をしていた頃のように、俺がピンチになったら得意の魔法で助けてくれる――あの頃の連携が復活したのだ。
「まだ魔法が使えたのかよ」
「まあ、いざとなったら冒険者に戻ろうって考えもあってね」
したたかというかなんというか……そういうところは昔から抜け目がないんだよなぁ、ジョエルは。
強力な助っ人が増えたのは嬉しい限りだが、本来はその助っ人を守る戦いをしているわけなので、あまり前面にでていかないよう注意をしておく。
「ふん! 調子に乗るなよ! 寿命が少しだけ伸びたにすぎない!」
ジョエルが戦力として新たに加わったが、エンバーの強気な態度に変化は見られない。
学園でも魔法の使い方を教わっているのだろうが、こうして実戦に出るというのは俺と冒険者をしていた頃以来だろう。大体、今回はジョエル自身が狙われているのだからちょっと状況としてはややこしい。
――だが、俺のやるべきことは変わらない。
たとえ味方がラトアだけであっても、力を合わせてこの窮地を脱しなくては。
「ラトア! こうなったら死ぬ気でやってやろうぜ!」
「異論はない。狙うのはヤツの首だ」
「おう! ジョエル! 援護を頼むぞ!」
「任せて!」
急造チームとはいえ、なんだかこの三人だと負ける気がしないんだよな。これからも三人で学園生活を送れるようにこの場をしのがないとな。
「まずは俺から仕掛ける」
先に動いたのはラトアだった。
ここまでの戦闘での疲れなど微塵も見せず、果敢に攻め込んでいく。
何よりスピードが凄い。
あの巨大リザードマンも素早いが、ラトアはその上を行く。おまけに神剣の持つ強大な力がここへきてさらに輝きを増してきた。
「おまえにハインもジョエルもやらせない」
静かに闘志を燃やすラトアが手にする神剣が――突如巨大化。
「んなっ!?」
思わず間の抜けた声が口から漏れる。
あんなデカい剣は見たことがない――というか、
「そんな凄いのがあるなら最初から出してくれよ!」
たまらずそうツッコミを入れてしまう。
出し惜しみしている場合じゃないのは本人もよく分かっているはず……って、待てよ。そうなるともしかしたら――
「すまない、ハイン。俺も驚いている」
どうやら、あのデカい剣は今初めて出したらしい。
「いや、そんなことあるのか!?」
「分からない。けど、ふたりを守りたいって強く願ったら、剣が大きくなった」
「俺たちを守りたいって……あれ?」
なんか、それ原作でもあった流れだぞ。
ひょっとして……本来の覚醒イベントが前倒しされている?
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