夏の昼下がり

短いトンネルを自転車で駆け抜けていく。

湿っぽい香りが鼻先を掠めていく。梅雨とは違う夏の湿っぽさは、子供頃のプールの匂いがした。

トンネルの日陰で止まり匂いを嗅ぐと、懐かしい記憶が一緒に呼び起こされる。トンネルを走る車の走行音が、鈍く硬い水流のように聞こえ、耳から頭までごぉごぉと響き渡る。

自分の暑い息を感じながら、例えようのない車の走行音を思うを巡らせながら、再び自転車を漕ぎ出した。

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