第64話 訓練

朝食後、再び訓練場にきている。


背嚢を背負わないで軽く外周を走り、早速ラジオ体操もどきが導入され、ベンドス様に皆の前へ立たされ(知っている人がいないから仕方がないが……)曖昧なラジオ体操をやってみた。

騎士様や騎士見習い達は文句を言わず、真似して実践していた。


さすが騎士様達、動きが一致していきシンクロしていった。

騎士見習い達はまだまだだったけど……


終わった後のベンドス様の表情を見るにラジオ体操もどきは導入されそうだ。


走った後はいつもなら模擬戦ということだったのだが、俺の小さな身体では体格差がありすぎて相手がいないということでまた素振りとなった。


俺としては素振りは楽しいので大歓迎だ。


朝食前に教えてもらった素振りを五十回ずつ繰り返す。


本当に、本当に今更ながら、走りにしろ素振りにしろ全然疲れていないことに疑問を感じてしまった。


前世では運動が苦手で不得意でもあったためあまりしなかったから、魔法と同じくできることが嬉しく、思うように動く身体に運動する楽しさを感じやり続けていたわけだけど……


なぜ疲れないのか?

騎士見習いの子供達や騎士達との違いは?


村の子供が物凄く身体能力が高いから……

村にいた時鬼ごっこのような遊びをしている子供達が走り回って疲れていたから、これはない。


次、父さんと母さんの子、俺が特別?

たしかに前世の記憶があることは特別だが、スタートダッシュをしたから魔法に関してはまぁまぁなのだろう。

父さんと母さんは普通の人だし、俺の先祖にすっごい人がいて、その人の先祖帰り?とかしたわけでもない普通の子供である。

前世の記憶持ちではあるが普通の子供である。


魔法の同時使用ができるようになってから並列思考ができるようになっていて、今考えながらベンドス様が様々な構えからの振り方を新たに教えてくれて、その素振りを黙々としている。


両手を顔まで上げ、竹刀プチアースを背中に隠すような構えからの振り下ろし、水平斬り、回転斬り。

半身になって顔まで上げた竹刀を相手に向けた構えからの突き。

中段の構えから突き、振り下ろし、水平斬り。


振り上げなども左右逆どこからもできるように素振りを黙々としている。


謎である。

なぜ疲れないのか?


模擬戦で休憩している騎士見習いのオモイコミー達をちらっと見るが、何が違うのかわからない。

魔法を使うこと一辺の生活で運動をあまりしていなかったけど、ケンディさんと出会い、多少体力作りをしたが……

本当に不思議だ。


赤ちゃん時代は疲れて寝ることがあったけど、ある程度経ってから、疲れて寝ることはほとんどなくなっていたなと思い出した。

あぁ精神的に疲れたというのはあったけど肉体的に疲れたと感じたことがなかったかもと思い返す、が何が原因かやっぱりさっぱりわからない。


そういえば、筋力も上がっているみたいだ。

走りの時の背嚢、あれ九歳の騎士見習い達にとってとても重いと感じるらしい。

それを俺は重く感じなかった。

少し重いかなくらいにしか思わなかった。

普通に考えれば五歳の子供が持てるわけがない。


でも、持てた。

スーパーマンのような超人の身体なのだろうか?

突然変異したのか?と俺は全く見当違いなことを思っていた。

まぁ、動けるからいいか!と考えるのをやめ、楽しく感じる素振りに没頭した。


訓練場にて朝食前に走りと素振り、朝食後に軽い走りと素振り(本来模擬戦)、休憩を挟みながら昼近くまで続けた。


午後はエアルリーザ様や彼女の弟妹達、ニチカやポチマルに癒されながら、魔法の修練する。


夕飯前に新しく建てられた自宅に帰って、母さんと食事、会話をして魔力を使い切り寝る。

一緒に寝ている。


翌日、朝に訓練場に行き騎士達と午前中訓練する。という習慣が続いた。

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