第63話 騎士見習い達と朝食
「ラハートフ、さっき何かしたか?」
食堂に着き、騎士見習いの子供達に誘われ一緒に座って朝食を頂いている。
「臭いが気になってプチクリーンをしました。」
「プチクリーンってちょっとした汚れしか取れないんじゃないのか?」
「魔力をおお」
あ、魔力を多く込める技術って盟約したことだから言っちゃ駄目か。
駄目なんだろうな……
このまま言っていたらエンダースみたくなっちゃってたか。
ふぅ、危ない危ない。
「魔力をお?」
「魔力をお匂いやお汚れを包み、元の状態になることを意識しながら使うとお匂いや頑固な汚れも取れますよ。」
「そんなことできるのか?」
「魔力で包むとか考えたことなかったな。」
よかった……
言葉遣いがめっちゃ強引でめっちゃ変だったけど、気にしていないようだ……
お匂いとかお汚れってほとんど言わないでしょ……
「できるんです。一回で駄目なら何度かやると綺麗になりますよ。」
これは本当。
イメージ大事、イメージも大事。
「そうなんだ。」
「これ、聞いて、よかったのか?」
「良いんじゃないですか?」
「そうなのかな……」
「そういえば、ラハートフはなんで様付けで呼ばれているんだ?もしかして、貴族様の子供、だったり?」
「エヴィンカル様を助けたからですかね?様付けはやめてほしいんですけどね。あ、貴族様の子供じゃないですよ。」
「えっ?ラハートフって、あの、」
「聖獣使い、ラハートフ?」
「公爵様の命の恩人?」
「隠し子……」
「聖獣使いって何ですか?隠し子じゃありませんから。普通の村人の子供ですよ。」
「「「普通ではない!」」」
聖獣使いはグリフォンやドラゴンを使役しているからだってさ。
プチウィンドとプチファイアだから、使役しているわけじゃないんだけどな……
というか、まだ隠し子って思われているのか?
エヴィンカル様が証明したのにな……
「公爵様の命の恩人がこんな小さい子供だったなんて……。」
「でも、体力があんなにあるのも納得かも。」
「うんうん。練習剣を瞬時に作り出すのも簡単にやってしまうわけだ。」
「あ、俺達もラハートフ様って呼んだ方がいいのか?」
「「「!?」」」
一人の騎士見習いの言葉に一斉に俺を見る他の騎士見習い達。
「呼ばなくていいよ。今日からだけど、こうして一緒に訓練にして同じ釜の飯を食べている仲間なんだから、様付けなんてしなくていいよ。」
「そ、そうか。じゃ、じゃあ、ら、ラハートフ。」
「「「ら、ラハートフ。」」」
「はい。」
「ら、ラハートフ、な、仲間なんだから、そんな丁寧な言葉じゃなくて、いいんだぞ。」
「うんうん。」
「そ、そうだぞ。」
「そうか……。そうだな、わかった。よろしくな!」
「「「よろしく。」」」
「あ。」
「どうした?」
「いや、皆の名前を知らないなと思って。」
「「「あ。」」」
最初に絡んできて肩を押して「肩を強く押してごめんなさい!」「良いヤツだなっ!」と言った子オモイコミー
「ズルしてんじゃねぇ!」「ズルとか言ってごめんなさい!と言ったの子ズールイ
「嘘付き野郎!」「嘘つき呼ばわりしてごめんなさい!」と言った子ウッソ
叩こうとした「叩こうとしてごめんなさい!」と言った子ハータコ
「なんであんなに走れるんだ?」「俺達の剣とは形が違うな。」と言った子コーキシン
「そういえば、最近食堂の飯が美味くなったよな。」
「うんうん。」
「ドライフルーツだっけ?あれも出るようになって朝食と昼食が楽しみになったよ。」
「俺もそうだな。」
「家でも食べられるようになったらいいのにな。」
「それなら近い内になるよ。」
「そうなのか?」
「まじ?」
「うん、俺の村で大量生産するようになったから。」
「本当か?」
「うん。」
「安いといいなぁ。」
初めは高く売るかもな……
「あ、これあげるよ。」
プチボックスから人数分のイチゴの鉢植えを出す。
「植物?」
「いちごだよ。ほら赤いドライフルーツの元だよ。」
「へぇ、これがあのドライフルーツの植物なんだ。」
「そう、んでこれに魔力を注げば、」
「「「おおお。」」」
「「「すげえええ。」」」
騎士見習い達と近くに座っていた騎士達が声を上げる。
「実がなるんだ。」
種無しのいちごができ、さらに魔力を注ぐといちごが落ちる。
テーブルに衝突する前にいちごの下に手を入れキャッチする。
このいちごは魔力を注げば成長する、ある一定の大きさから大きくならない、受粉しなくても実がなる、食べ頃まで成長すると落ちる、魔力を注ぎ成長させるとまた同じところに実がなるという想像をして『変種』したいちごだ。
あれだ。
エアルリーザ様の弟達の為に『変種』したいちごだ。
成長し続けいちご畑になり処理がとか聞いたからそれを防ぐ為、あとプチグロースを使わなくても魔力だけで成長するようにしたんだ。
このいちごなら鉢植えから少しはみ出たくらいの大きさにしかならない。
人数分どんどん魔力を注ぎ、いちごを成らして出来次第渡していく。
「「「美味しい!」」」
「「「美味い!」」」
「これ、もらっていいのか?」
「いいよ。」
「「「ありがとう!」」」
「あ、売っちゃ駄目だからね。」
「「「売らないよっ!」」」
騎士達の羨望の眼差しを受けて、騎士達にもあげた。
あと食堂のおばちゃん達の人を殺せる羨望の眼差しに悪寒を感じ、おばちゃん達にもあげた。
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