第62話 訓練 素振り
ベンドス様が持ってきたのは刃引きされた子供サイズの西洋剣。
ベンドス様は剣と俺を交互に見ている。
うん、俺の小さい身体には子供サイズでも大剣ですね。
どうしようって困って交互に見ちゃいますよね……
「自分で用意します。『プチアース』」
「え?」
地面に手を付けて『プチアース』を使った。
圧縮された四十センチくらいの竹刀の形のプチアースが出来上がる。
近くにいた人達がまたしても驚き固まる。
「魔法も使えるのか!」
「凄いな!」
「俺達の剣とは形が違うな。」
「うん。たくさん使っていたら、使えるようになったよ。ベンドス様、これでもいいですか?」
騎士見習いの子供達にいつも通りの話し方でいいと言われたからそう話し、ベンドス様に竹刀型プチアースでいいか確認をした。
「あ、あぁ、うん、結構重いのですね。大きさはラハートフ様に合っているので問題ありません。」
ベンドス様が竹刀プチアースを受け取り確認した。
返してもらいどう素振りするのか待つ。
「まずは振り下ろしです。」
ベンドス様が手本を見せてくれる。
左足を前に出し、少し腰を下ろす。
剣を両手(右手が上左手が下)で持ち、頭の耳と同じくらいまで上げ、両手は右耳寄りで構える。
振り下ろしの時左足を軸に右足を前に出し、右耳から左足に斜めに振り下ろす。
続けて剣を持ち上げる際右足を戻す。
両手の動きは涙マーク逆、左耳の方に持ち上げ構える。
左耳から右足に斜めに振り下ろす。
持ち上げる際右足を前に出し涙マーク逆の手の動きで右耳の方に持ち上げ右耳から左足に振り下ろす。をゆっくりからどんどん早い動作になっていく。
かっけぇ……
某剣の漫画みたいだっ!
「では、やってみてください」
「はい!」
もっと手首を使ってください。
力みすぎです。
力を抜きすぎです。などなど駄目出しを貰いながら、修正していく。
魔法と似たようなものだ。
徐々にできるようになっていく。
次は横切り。
右から左に水平に斬る。
また左足を前に構える。
振る際に右足を前に出し腰の回転も加え右から左へ振るう。
両手を逆時計回り半回転、右足を戻し腰回転を加え左から右に振るい、両手を時計回り半回転し右足を前に出しと繰り返し。
ベンドス様のアドバイスを受け、その都度修正し素振りを繰り返す。
ベンドスは剣を振り続けるラハートフの体力に驚きつつも指導していく。
ここでも騎士見習い達がラハートフの小さい子供がまだ素振りをしているんだっ!負けるもんか!といつもより多く剣を振るっている。
教官は是非とも毎日ラハートフ様が参加してくれることを願った。
ベンドスは飲み込みの早いラハートフに興が乗っていろんな振り方を指導する。
左手を引いて右手を出す素早い小回りの振り下ろし。
腕も使い、身体も使う大斬り。
身体を反転からの振り下ろし。
両手持ちでの腕を伸ばし突き。
前へ踏み込む片手で腕を伸ばす突き。
下段の構えからの振り上げや水平斬り、突き。
ベンドス様の手首がぐねぐね動いて、剣をくるっとして振り下ろし、くるっとして水平斬り、くるっとして振り上げ、と早くてもうなにがなんだかわからんぜよ。
凄く格好良いのはたしか。
適当に自分なりに格好良くくるくる回したらふざけないでくださいって怒られた……
なじぇだ……
ベンドス様の片手で剣を振るう姿は本当に某剣の漫画の高○剣みたいだっ!とこれだけでも絶対できるように凝視しまくった。
手首の柔軟性が大事っぽいかな?
朝の訓練はここまでのようだ。
もっとできるようになるまで素振りをしたかった。
ぞろぞろと食堂に向かう騎士達を追う。
訓練に集中して気がつかなかったが、男臭い!
ぞろぞろと歩く騎士達を纏めてプチクリーンをした。
男臭さがなくなり、食堂の匂い、パンの香ばしい匂いが漂ってきて、食欲をそそられる。
お腹がぐぅーとなった。
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