第51話 進化と初採蜜

首もふアマミツクイーンのファインさんと娘アマミツバチのキララとオトモ契約をして数日が経った。


少し空間を整えた後、ファインさんが一族を連れて帰ってきた。

一族纏めて彼女らの『テント』に入る許可を出し、中へ入ってもらった。


ファイン達の希望を聞いて、空間を整えた後は余分なアマミツがすぐにできる訳じゃないから、あと棲みかに慣れてもらうため、数日放t、彼女らだけで過ごしてもらった。


そして、数日ぶりに彼女らの棲みかの空間に入ったら、多くの首もふアマミツバチと大量のアマミツバチがいてその中に、気にせいではなく、目の錯覚でもなく、見てわかるくらい他とは違うアマミツバチのような大きな個体、二体がいた。


その他とは違うアマミツバチのような大きな二体が俺の方に飛んできた。


〈ラハートフ、いらっしゃい。それぞれの花のアマミツができましたけど、持っていきますか?あ、あとまた分蜂をしましたので、巣の近くに花を植えてもらえると助かります。〉


ファインの声だった。


「ファイン、なの?じゃあ、そっちはキララ?」

〈キララです!〉

〈あぁ、進化しましたから、姿が少し変わったようですね。はい、私はファインですよ。〉

「少し?いやいや、めっちゃ変わっているんですけどっ?!」

〈そうですか?〉


ファインはまず全体的に人っぽくなってる。

あれだ、蜂の擬人化。

触覚、羽、お尻?は蜂のまま、目も蜂っぽいけど可愛らしさがプラスされていて、他が人、金色のさらさらショートヘアー、腕が四本に脚が二本、女性らしい胸があり、首にはもともとあった?もふもふファーが付いている。


キララは身体が大きくなっていて姿が少し変わっていた。

身長?全長は大きくなっているんだが、スリムになっていて、人型の蜂。


もう一段階か二段階かワープ進化したらファインみたく(ファー無しの)人よりの蜂の擬人化みたくなるんじゃないか?と思ったりした。


「ファインは元々はアマミツクイーンバチだったんだよね?」

〈そうです。〉

「何になったんですか?」

〈契約初日にハイアマミツクイーンバチに、三日前にハイアマミツエンプレスバチに進化しました。〉

「まさかの二段階。」


エンプレスってエンペラー(皇帝)の女性版?

女帝だったか?

帝国のトップ。

帝国は複数の国や民族などを支配しているだったか?

王国より大きいイメージがある。


あの首もふアマミツバチ達はアマミツクイーンバチでいいんだよな?


ファインに聞いたら、やはりアマミツクイーンバチだった。


多くの首もふアマミツバチ、女王蜂達を支配化に置いているからエンプレスまで進化したのか?


女帝蜂、なんか凄いな……

強そう……


〈キララはハイアマミツバチに進化しました!〉

「キララもやっぱり進化していたんだね。」

〈ラハートフの膨大な魔力のおかげです。〉

〈ありがとうございます!〉

「そうなんだ。オトモ契約で進化もすることになるとはなぁ。」

〈天敵に遭遇しても子達を守れます。〉

〈姉妹達を守ります!〉

「それは良かった。でも、遭遇することなんてないけどね。」

〈有り難いことです。安心して暮らせますし、子達もそのうち進化するでしょうから、本当にラハートフとオトモ契約を結んで良かったと思っています。〉

「キララ以外も進化するの?」

〈この空間は魔力が満ちてますから、そのうち進化するでしょうね。〉

「そうなのか。」


魔力が満ちている、か。

今は何も思い付いていないけど、何かに使えるかもしれないな。


「あ、進化の話じゃなくて、アマミツと分蜂の話だったね。」

〈はい。〉

「新しい巣に花を植えたらアマミツを貰おうかな。植える花の希望はある?」


ファインに新しい巣へ案内してもらって、希望の植物を植える。

人のように蜂それぞれ好みが違っているらしく巣のトップ、アマミツクイーンバチが好みの花をファインに、ファインが俺に伝えて、その植物を植えた。

何でもいいと言った巣には新しく手に入れた植物を植えた。


新しい巣に花を植え終わり、アマミツを受け取る。


アマミツを溜める巣に巣箱をたくさん用意した。

巣箱は箱に木枠をいくつか入れたもの。

試しだったから小さめの巣箱。


ファインが指示を出してくれたから、その巣箱には子供がいない。


できたアマミツの巣箱の一つの蓋を開けて一枠取って確認した。

この世界でも一つ一つが六角形の巣だった。

木枠全体に巣が作られていて、半分くらいは白いもので覆われていた。


覆われていない巣にプチクリーンをかけた指を付けて、指を舐めた。


「おお!ハチミツだ。」

〈アマミツですよ。〉

「アマミツだ。甘い。」

〈それは契約前に採っていたいくつか花の蜜からできたアマミツですね。〉

「美味しいね。いちごの花のアマミツはどれ?」

〈いちごの花ですか……〉


ファインが言い淀む。


「失敗した?」

〈いいえ、できたのですが、いちごの花は蜜が少なかったため、魔力をたくさん使って花をたくさん咲かせていたので、大変でした。〉

「いちごの花は蜜が少ないのか。知らなかったよ。ごめんね。」


『変種』で蜜が増えるようにできるかな?


「『変種』で増やせるか試してみるよ。」

〈お願いします。〉


ファイン達が頑張って作ってくれたいちごの蜂蜜をさっきと同じくプチクリーンをして舐めてみた。


さっきのアマミツより少し酸味がある。


『変種』によって甘さが増したいちごなのに……

実になって赤くなるにつれ、甘さが増すから、か?

研究者とかではないから、わからない。


あっ!

花蜜じゃなく、実でハチミツ、じゃなかったな、アマミツは作れないのだろうか?

もしできたら、本当のイチゴのアマミツになるんじゃないか?


凄い思い付きを閃いたな、俺!

まぁ、これはこれで美味しいんだけどね。


他のアマミツも美味しいな。

エアルリーザ様、喜んでくれるだろうか?


そんなことを思考しながら、他の出来上がったアマミツも試食していった。


ーーーーー

あとがき

私のイメージの巣箱は単枠式というものでした。

蜂蜜ができた枠を遠心分離機に入れて回して取っているのをテレビで見て、巣箱っていったら単枠式だと思っていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る