第10話 冒険者 体力作り
「そんな走りだと盗賊に山賊、魔物からは逃げ切れないぞ。」
「はぁ、はぁ"、はぁ、はぁ"」
「ほら、走れ、限界まで走れ。」
「はぁ"、はぁ"、はぁ"、はぁ"」
乱れる自分の呼吸がうるさい。
後ろから何か言われているが乱れる呼吸で聞きづらい。
追われながら、必死に走っていた。
楽しいと思う魔法の修練?練習とは全く違っていて、喉が痛い、心臓が破裂しそう、肺が悲鳴をあげていて辛い。
苦しい……
なんで俺はこんな思いをしながら走っているんだろうか……
『恥は一時、やるは熟練度上昇』とか座右の銘にしたけど、いずれ自身の力になるとわかっていても、楽しくない苦しい走りに幼児の身体に引っ張られている精神は荒い息を吐きながら、参り始めていた。
「あんな魔法を使うなんて凄いな!」
朝食をいただき、今日もウォーキングウィズマジックをしようと家を出ると、変態冒険者が家ノ前にいて機嫌良く言った。
「うわあああ」
瞬時に掌を変態冒険者に向けてぶっとい放水プチウォーターを放った。
仕方がないと思う。
俺の中では変態になっている冒険者。
あんな夢まで見てしまってトラウマになりかけている変態が心の準備もなしに突然目の前にいたら、殺ってしまうのも仕方がないと思う。
「あぶなっ!」
変態がプチウォーターを避ける。
掌を避けた変態に向けてまた放つが、避けられる。
騒ぎを聞いた母さんが後ろから俺を抱きしめた。
父さんが俺と変態の間に立った。
「落ち着いて。大丈夫だから、落ち着いて。」
繰り返して耳元で優しい安心する声と抱きしめられた手で優しくとんとんと叩かれ、冷静になっていく。
抱きしめられたまま、冒険者に頭を下げる。
「……ごめんなさい。」
「泣かせたのに、昨日の今日で下準備を無しに現れた俺が悪かったな。すまん。」
そうだ、お前が悪い。
「……うん、怖かった。」
「す、すまん。」
「……小さい子が好き?」
「!?」
母さんの抱きしめが強くなった。
俺はじっと冒険者の目を見る。
「ん?孤児院で育ったからな、子供は弟や妹みたい見えて、好きだぞ。」
質問に対して不思議そうに首を傾げた後、懐かしむような目に優しい目をしていた。
嘘じゃないと思った。
母さんが言ったように大丈夫だと思った。
第一印象が悪いため、まだ怖いけど……
「なんで魔法を使いながら歩いていたんだ?」
「歩いていたのは運動不足だったから。」
「ふっ……」
笑われた?
「魔法は新しい魔法を覚えたから、使い慣れるため使っていた。」
「新しい魔法?」
「うん。使っていい?」
「あぁ。」
「『プチホットウォーター』」
冒険者の目の前に両手が収まるくらい大きさのプチホットウォーターを出す。
「プチウォーターじゃないか?」
「違う。触れてみて。」
「あぁ。あっつ!」
あ
お湯だと知らず触ったらすぐに引っ込めるやつか。
温かいって伝えるべきだったな。
まぁ怖がらせた罰として受け取ってもらおう。
「熱いプチウォーター?」
「そう。それは温かいお湯の温度。」
冒険者が恐る恐るプチホットウォーターに触れる。
「お、おお。確かに温かいな。」
「この魔法を使い慣れるため、歩きながら使っていた。」
「いや、普通使い慣れるためなら動きながら使わないぞ。あ、運動不足って言っていたな。だからか。」
「うん。」
「そうか、って!いやいや!動きながら魔法を使うなんて凄いな!お前!」
「えぇ!この子天才なんです!」
「あぁ!天才なんだ!」
「素晴らしい子だな。」
両親と冒険者がなぜか盛り上がる。
言われてみれば、村の住人達や父さん母さんも使う度動きを止めて魔法を使っていたかもしれない。
「その年で動きながら魔法を使うなんてな。鍛えれば……どうだろうか?」
「あぁ、力を付くのはこの子にとって良いことだ。お願いします。」
「お願いします。」
なにやら両親が冒険者にお願いした。
そして、冒頭の走り、体力作りが始まった。
なぜ?こうなった?
ーーーーー
あとがき
面白いじゃん、まぁまぁ面白いなぁ、少しでも続きが気になるな。と思ったら☆☆☆をつけていってくださいな!
とりあえず☆だけでもつけてください!
面白くなってきたら☆を足してくださいな!
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