第8話 不審者?
座右の銘を決めた翌日。
いつもなら室内で生活魔法の熟練度、魔力増加や同時使用をやっていた。
今日は運動不足を解消するため家の周りを歩いていた。
ウォーキングだ。
しかし、ただのウォーキングではない。
ウォーキング ウィズ マジックだ!
……合ってる?
最近覚えたプチホットウォーターをドーナツ型にしてネックウォーマーみたく首につけている。
ただ浮かせて動かし追いかけるのとは違い、不慣れな魔法を形を維持し、歩く自分に合わせて動かすのはとても難しい。
歩くことがメインなのに、魔法の維持に集中すると転んでしまい、地面に倒れプチホットウォーターが崩壊し地面と共に濡れ汚れる。
転んで手が痛くて、自然と目に涙が溜まる。
泣きたいほど痛くはないのに感情が抑えられない。
幼児の身体に精神が引っ張られている。
厄介だなと思いながら、立ち上がり深呼吸して袖で涙を拭き、服と手についた泥をプチアースで集め落とした後プチクリーンを使い、また魔法を使い維持しながらウォーキングを続ける。
また転んで涙が溜まり深呼吸して魔法で綺麗にしてウォーキングをするのを繰り返した。
「おはよう。」
バシャッ
「あ……」
転ぶ頻度が減ってきたところ隣の住人に声をかけられ、集中が切れ魔法の維持が途切れて首から下が濡れてしまった。
「ご、ごめんな。」
隣の住人が気まずそうな表情で言って去っていた。
自分の未熟さのせいだから気にしなくていいんだけど……
挨拶をされたから返したかったんだけど……
「……おはよう。」といなくなってしまった隣人に小さな声で挨拶を返した。
服を脱いで絞り、服を着てプチウィンドを自分に向かって使いながら、再び歩く。
プチファイアと同時に使えばドライヤーみたくできるかもと閃いたが、大人がいないから今はプチウィンドだけを使い、風呂上がりの時にやってみようと 脳内メモをした。
プチウィンドは使い慣れた魔法だから閃いたこととか何かを考えていても簡単に魔法を維持しながら歩くことができていた。
暫くして服がある程度乾いたら、またプチホットウォーターを使って歩き始める。
「お前、凄いことしてるな。」
「うわっ!」
バシャッ
「あ……」
知らない声に、結構至近距離でいきなり声をかけられて驚いて尻餅をついて、また魔力の維持が失い首から下が濡れた。
お尻を擦りながら、声をかけてきた人物を見上げる。
「す、すまん。」
その人物は頬を片手の指で掻きながら、もう片手を俺の方に差し出した。
彼の手を取ると引っ張られ、立ち上がる。
「ありがとう。」と言い、お尻に付いた土をぱっぱと払い落とし、手とお尻にプチクリーンをして、彼を見上げる。
見たことない、知らない人だった。
家に戻るべき、か?
助けを呼ぶか?
逃げれるか?
いつでも魔法を使えるよう魔力を集める。
沸騰近くの温度のプチホットウォーターをかければ撃退できるよな?
若干物騒な思考になっていると男が話しかけてくる。
「少し見ていたが」
「えっ?」
え?見られていたの?
えっ?待ってっ?
今、少し見ていたって言った?
何が楽しくて幼児が歩いているのを見ていたの?
あ……
も、もしかして、ショタ趣味?!
小さいから女の子に見えたから見てた?
それは、それでロリコン趣味で危ない奴!?
衝撃的な想像をして、身体がぶるっと震え、男から後退る。
「え?なぜ後退る?」
「……」
感情が抑えられない。
恐怖で身体が震え、目に涙が溜まっていくのがわかる。
「なんで泣きそうになってるんだっ?」
「う、う、う」
「おいおい?!泣くなよっ!」
男が近づいてくる。
無理!
「うわあああああああ」
「うおっ!?」
泣きながら俺は両手の掌を近づいてくる男に向けてプチウォーターを消防車の放水のように放っていた。
男にプチウォーターが当たり、吹き飛んだ。
「どうしたっ?!」
「大丈夫っ?!」
父さんと母さんが駆け寄ってきた。
泣きながら母さんに抱きついた。
そこから記憶がない。
泣き続けいつの間にか眠っていたようだ。
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