第4話 初外出

俺には魔法という素晴らしいもの、娯楽?趣味があったから、あまり外に出たいと思うことがなかった。



万が一プチファイアの魔法が暴発暴走したら全財産無くなると、室内火危険、火事危ないと室内でのプチファイアの使用を少し不安に思い、ある日両親に「外へ出たい。」と言ったら「外に出てはいけない。」と返された。


「なんで外に出たいの?」と聞かれ「うちでプチファイアを使ったら危ない、燃えちゃう。」と言うと、親監視の下で竈への種火を起こすのをやらせてもらうことになった。


いつも以上に魔力を慎重に操作して、少な目の魔力でプチファイアを使うことにした。

朝昼夜の料理の時間帯に俺が起きていた時、プチファイアを使わせてもらった。


何度も使用させてもらってプチファイアに慣れるということは達成した。

そして、火を出そうと一度はやったことがある人が多くいるであろうあれをした。


指に力を入れる。

指の先に魔力を集める。

準備が整った瞬間、憧れの指パッチンをした。


スゥボッ。

カスッボッ。

スゥボッ。

スゥボッ、カスッボッ。


小さな火は出た……

指パッチンは音を鳴らせなかった……

何度かやったが、パチンッと良い音が鳴らなかった……


幼児の手だからかな?

もう少し大きくなったら練習すると予定を心に刻んだ。


それでプチファイアの魔力増加や造形は外に出れるようになってからで後々でいいかー他の魔法があるしーと思って、三歳を迎えた翌日まで外に出ることを気にしなくなった。



三歳の誕生日を迎えて両親にプラネタリウムを見せた翌朝、父さんに抱っこされ、初の外出をした。

顔合わせで全家族の家に訪問する予定だそうだ。


全家族っ?!と驚いたけど、村だからそんな多くないから大丈夫だと言われた。


あー俺、村に住んでいるんだ。村人か。と今更ながら思った。

憧れの魔法のことしか考えていなかったから、生まれた場所のことなんて魔法がある世界最高!と思うくらいしか思わなかった、考えもしなかった。



この顔合わせは三歳を迎えたらするみたい。

以前三歳を迎えた村の子も顔合わせでうちに来たらしいが、なんとなく誰かに会ったような……と物凄く曖昧な記憶がある。

魔法が楽しくて夢中だったから、覚えていなくても仕方がないと思う。


普通の幼児なら外に行こうとしたり外に行きたい!外で遊びたい!とか我が儘を言って親を困らせたんだろうなと今、父さんに抱っこされ連れてこられた狩人さん宅の元気一杯な幼児兄(一つ上の四歳)と幼児弟(二歳)を見て思った。


現に幼児弟(二歳)が出たい出たいと我が儘を言っている。

狩人さんに抱きつき俺を指差し「あの子、小さい、なんで、いいのっ?」と狩人さんを見上げ「なんで、僕、だめなのっ?」と泣きながら言った。


小さい……

三歳の俺より幼児弟の方が若干大きいし、肉付きがいい。

狩人さんちだから優先して肉を食べれるからかだろうか?


食事がちゃんとしていれば、父さんが高身長で細マッチョだから俺だって大きくなるはずだ……

三歳の幼児に食料をどうこうすることができないが……


父さんに眉間をぐりぐりされた。

小さいことに少し不安を感じて、眉間に皺が寄ったようだ。

父さんが狩人さんに軽く頭を下げ、そっと外に出た。


「元気な子だから、あの子は大丈夫だろうな。」

「何が大丈夫?」

「あ、いや、なんでもない。」


小さい声だったから独り言だったんだなと思い、聞くのをやめた。



「大人しい子ね。」「俺を見て泣かないぞ。立派な男になるな。」「まぁ!魔法が使えるの!」「凄いわね(凄いな)!」「賢い子じゃな。」


村に唯一ある小さい宿の女将、狩人長、近所のお姉さんお兄さん、村長と大人達に好印象を与えたみたいだ。

抱っこされたままぺこりと頭を下げ、挨拶して、汚れが気になってプチクリーンをしただけなんだけど。


最後の家、肉屋の夫婦によくわからないがめっちゃ愛でられた。

肉屋の夫婦に「抱っこさせてくれ。」と言われ、夫婦二人に抱っこされ、ぎゅっと抱き締められた。


そしたら奥さんがすすり泣き出した。

自然と身体が動き、こちらからも抱きついて後頭部を撫でた。

落ち着くまで撫で続けた。

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