ドーヴァー海峡の位置は変えられる

 あまり知られていないと思うのだがドーヴァー海峡は想像を絶する規模の洪水で出来た巨大な谷であって、地質学的にみてその歴史はあまり古くない(約20万年前)。

 北海あたりにあった氷河が溶けて出来た湖が決壊したときに、たまたま水が流れた方向に刻まれた地形である。一説には地震が切っ掛けとなってドーヴァー海峡を生んだイベントが起きたという。

 このイベントこそヒマラヤ山脈で小規模なものが問題になっている「氷河湖決壊洪水」である。


 ドーヴァー海峡はその成因がプレート運動に依存していないことから、ちょっとした改変でドーヴァー海峡の位置を変えたり、ゆっくり排水させて洪水そのものをなかったことにできそうだ(20万年以上飛べるタイムマシンは必要)。

 もし、イギリスとフランスが地上で繋がったままなら、歴史は大きく変わってしまう。ローマによるブリテン島の完全征服が成功するかもしれないし、北海の水運も大きな影響を受けると思われる。

 もっと南の方に流れの向きを変えればパリになる土地がなくなるかもしれない。さすがに地中海まで流すのは地形的に無理がありそうだが、もっと大きなブリテン島はありえる。逆に小さなブリテン島もありえる(地図を見ているとセバーン川のところで千切りたくならない?)。


 似たような地形改変ができそうなイベントとして、北アメリカ大陸に存在した「アガシー湖」の決壊もある。これも流れの矛先を変えたり、ダムを補強して現存させたりすれば面白い。アガシー湖の西にはミズーラ湖もあったらしい。


 淡水が流れ込む先によっては大洋の海水ベルトコンベアを止めたり止めなかったりして、もっと大きい影響をおよぼすこともありそうだ。どこまで考えるかはともかく、現実の地図を活かしながら、どこか違う地図に説得力をもたせて、世界を描ける点でちょっと面白いのではないかと考えている。

 一番の問題は日本人に馴染みの薄い地域ってことかな。

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