第3話 成人の儀3
祭壇にのぼった奏音(かなと)の胸元へ巫女が荒神石(こうじんせき)を埋め込む。
身体が発光して奏音の前に武器が現れる。
「太刀だ!」
「最上位の武器だぞ!」
周囲からざわつきが起きる。
現れる武器の刀身が大きければ大きいほど強い武器と言われている。
太刀を発現したものは、例外なく国の上層部にいる。
「次は、お前の番だな。お前なら太刀を発現できるよ!待ってる」
そう言って奏音は、俺の肩に手を当てて去っていく。
「ああ。行ってくる」
俺も成人の儀を受けるために祭壇へ向かう。
巫女から荒神石を胸に埋め込まれた俺の身体が光りだす。
物心ついてからこれまでの修業の日々が思い出された。
身体から何かが出て行く感覚がした。
とうとう俺にも自分の武器が――――。
パンッ!!
胸元で大きな音がして身体から何かが出ていく感覚がなくなった。
「あれ?」
武器が出てこない。
「え?巫女様?…これはどういう…」
「わ、私にもわかりません」
奏音の方を向くと驚いた顔をしている。
「私もはじめてのことなので神官様にお伺いしてきます」
周囲がざわつく。
何しろ成人の儀で武器を発現できなかったものなどいなかったからだ。
しばらくして神官服に身をつつんだ神官が巫女を連れて帰ってきた。
「井澤 翼(いざわ つばさ)の武器未発現の件について我々の考えを伝えよう」
神官がコチラを軽蔑したような眼差しを向けてくる。
心臓がドキドキする。
「彼は、神に認められなかった無能者だ」
「なん…て?」
頭が真っ白になる。
その日から俺の【無能】と言われる日々がはじまった。
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