第22話 梓と隆史の結婚

「そうなんだよ……もう隠しても仕方が無いね。

私と隆史は姉弟のように育てられてきたけれど、私は貰われてきた養女なんだ。」


隆史

「姉さん……姉さんは、それを知りながらも…俺を弟として大事に扱ってくれたんだね。

感謝するよ…。」


「隆史……隆史こそ、そうじゃないかと思いながらも…姉ちゃんの事を慕ってくれて…有り難う。

でも、こうなったら…姉ちゃんも一人で生きていかなくちゃね。」


隆史

「姉ちゃん…梓姉さんは、やっぱり俺にとっては特別な女性なんだよ。

梓姉さん無しでは俺は生きていけないんだ。

頼む…俺と結婚してくれ。」


「隆史……10年前なら張り飛ばしてる処だが…

どの親も死に…血が繋がっていないとなれば…

梓は天涯孤独さ。

隆史の事を弟として利用してたのは姉ちゃんの方じゃないかと思うのさ。

それに隆史の事を男として愛してしまったからね。

いまさら姉弟の関係には戻れないと思ってる。

一緒になるか…別れるか…身を切るような選択だよ。」


隆史

「姉ちゃん…いや梓さん、俺と結婚してくれるね。 

俺は誰よりも女性として梓さんが好きで…

俺は梓さん無しでは生きていけないんだ。

戸籍の問題は人に頼めば何とかなるから。」


「私も隆史無しで生きていく自信は無いんだ。 これが愛ってやつなんだろうな。

戸籍は玉井家から抜いて、極楽には入れず…

世帯主のままなんだ。

事実婚ってやつでも良いしね。」


隆史

「俺は梓さんに幸せを味わって欲しいと思ってるんだ。 

教会ウエディング、海外ハネムーン、

披露宴だって……。」



…………………………………………………


医者の言うとおり、梓の眼は見えるようになり…

眼帯も付ける必要が無くなった。


隆史

「姉ちゃん、益々美人になっていくね。

もう俺なんか目じゃ無いんじゃないの?」


冗談まじりで言う隆史に対して…

「隆史…お陰で姉ちゃんの眼が見えるようになったよ。 両目で隆史の事が見えるようになって…姉ちゃん、嬉しいよ。」


けなげな梓の言葉に隆史は梓にハグをし、

二人は抱き合って喜んだ。



……………………………………………………



次の日に隆史は花束と指輪を用意して梓を訪ねた。


隆史

「梓さん、好きです。 結婚してください。」


梓は赤面しながら…

「喜んで…こちらこそ…お願いします。」


……………………………………………………


梓と隆史はいつものように一緒に夕飯を食べ…

一緒にお風呂に入る…。


「姉ちゃん…ほら、ここ感じる?」


「ああ~ん☆ダメだったら……

それに、もう『姉ちゃん』じゃないだろ…。」


「なんか『姉ちゃん』って呼ぶほうがテンション上がるんだよね…。 何でかなあ?」


「それは背徳感っていうヤツじゃないの?

近親相〇的な……変態だわ。」


「じゃあ俺…それだわ。 これからも、その言い方…利用させて欲しいわ。」


「本当はダメだけど…たまになら良いわ。

その代わり…今夜は寝かさないから…

覚悟して……。」


仲良き事は美しきかな☆


……………… おしまい ……………………


遠い昔に姉に抱かれ…

母に対する思いとは違う…

不思議な温もり…


今宵も【東京スピンドール】で

遠い昔を懐かしんでみませんか?

17:00~25:00 OPN

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ナイトクラブ『東京スピンドール』 遠野 彬 @miyakeakio5

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ