第17話 昔の思い出 ~ 梓の記憶

「姉ちゃん…母ちゃんの話をしてくれよ……。」


「ああ…そうだねえ…母ちゃんは凄く綺麗で…スタイルが良くてね…。」


…………………………………………………


19年前


梓 (7才)

「ねえ~☆ 母ちゃんたら~☆ お祭り行こうよ~…早く行かないと夜店 閉まっちゃうよ~☆」


母(真理)

「そうだねえ、そろそろ行かないと お祭りも終わっちゃうよねえ…。

父さんが早く帰ってきてくれると良いんだけどなあ…。 

母ちゃんは日本舞踊のお稽古が有るんだよね、

今日は お弟子さんが10人も来るのよ…。」


「じゃあ…お祭りには 私、隆史 (5才)と二人で行ってくるよ。」


「梓…済まないねえ…。隆史の面倒見てくれるから…助かるよ。」


………………………………………


見知らぬ男

「ねえ♡お嬢ちゃん…おじさんと良い事しようか? ほら…キャンディも買ってあげるからさ。」


「え~☆…ダメだよ☆ だって弟がいるもん☆ お姉ちゃんは弟の面倒みないとイケナイんだよ☆」


「ああ~♡そうかあ…そうだよね…。じゃあ…こうしよう。 弟も一緒におじさんと遊べば良いよね~。」


「う…うん☆ それなら良いけど… でも おじさんって誰なの… 」


「おじさん…は…おじさんだよ♡」


男は面倒臭くなって、梓の手を引いて歩き出した…



「痛い☆ おじさん…手が痛いよ。 それに弟のタカシが付いて来て無いじゃない。」


……………………………………



男は梓をアパートの部屋に引き入れた。


「おじさん! ココ…どこなの? 私…帰りたい! エエーン……エエーン。」


男は梓を だき抱えて あやしてみたが…梓が泣き止まないので 梓の口をタオルで被い手足を縛った。


その頃…タカシは梓と はぐれて迷子になっていた。


警察から迷子の連絡が来たので、タカシを迎えに行ったのは母の真理だった。


「タカちゃん…お姉ちゃんと はぐれちゃったんだ☆ それで…お姉ちゃんは何処へ行っちゃったんだろうねえ…?」


梓が保護されて家に帰って来たのは…それから3日後だった。


…………………………………………



梓は隆史に昔の事を聞かれて…

そんな少女時代のイヤな記憶も甦(よみがえ)ってしまった。


ふと隆史を見ると疲れていたのか、寝息を立てて眠っている。

もう身内は隆史しか居ないという哀愁を感じた。

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