第15話 梓姉さんに助けられ…
梓姉さんが20才、俺(隆史)が18才の時だった。
とにかく俺はお袋が再婚した《極楽》という義理の父に反発して尖(とが)りまくっていた。
母
「タカ…今日はちゃんと学校行くんだよ。担任の先生も心配してるし…お義父さんだって… 」
義父
「タカ…あんまり 母さんに心配かけるんじゃねえぞ。この間だって警察の世話になりやがって…… 」
隆史
「へっ!まだ…アンタを親父と認めた訳じゃねえからな!気安く《タカ》って呼ぶんじゃねえよ!」
母
「タカ…アンタ!なんて事を言うの!お義父さんに向かって失礼でしょ!」
……………………………………………………
隆史は家を出ると学校には行かず…商店街のゲーセン(ゲームセンター)でたむろしていた。
チンピラ A
「おう!兄ちゃん…学生じゃねえの? ちょっと金貸して欲しいんだけど!… 」
隆史は朝から機嫌が悪く、チラッと眼を飛ばしてゲームを続けた。
チンピラは それがシャクに触ったらしく、隆史の胸ぐらを掴んできた!
隆史はケンカ慣れしていて、チンピラの手を捻(ひね)ると
「俺は今朝は機嫌が悪いんだ。金が欲しいなら他を当たりな!」
チンピラは捻られた手が よほど痛かったと見えて
「覚えてろ!今度会ったら…タダじゃ済まねえからな!」
と言うと弱そうな手下を連れて退散して行った。
次に隆史が そのチンピラに出会くわしたのは、姉の梓に買い物に付き合わされた ある日曜日の昼下がりだった。
裏通りの人気(ひとけ)の少ない通りを歩いていると……
チンピラ A
「おう!お前、あの時の…。ちょっと付き合って貰うぜ!
今日は綺麗な姉ちゃん連れてるじゃねえか…。」
隆史は[俺一人なら…アイツに頭突きをくらわして逃げる所だが…姉ちゃんを連れては逃げ切れないだろう…]と思った。
チンピラは 隆史と梓姉さんを薄暗い倉庫に連れ込んだ。
「先ずは…この間の礼をしないとな… 」
そう言うと、隆史の溝落ちに膝蹴りを入れた。
2回…3回蹴りを食らうと隆史は屈み込んだ。
梓は大人しい方では無いが、チンピラの手下に羽交い締めされていて隆史を助けられないでいた。
「良い気になってんじゃねえぞ! 次はコッチの綺麗な姉ちゃんだ…… 」
隆史
「やめろ!姉ちゃんには手を出すな!」
そう言う隆史にチンピラが もう一度蹴りを入れると…
隆史は腹を抱えて床に倒れた。
チンピラ A
「さあ…お楽しみの時間だ… 」
梓も高校時代は不良グループで少しは腕に自信が有った。 梓は羽交い締めされたまま、向かってくるチンピラに蹴りを入れた!
「女だと思って油断したぜ。じゃあ…これはどうだ!」
チンピラは卑怯にも倒れて呻いている隆史の顔にナイフを突き着けた。
チンピラ「これでも…まだ やるか?」
梓
「弟を離しやがれ!」
「そうか…弟なのか…じゃあ大人しく しとくんだな。」
チンピラはニヤッと笑って梓の服を脱がしに掛かった…
チンピラが梓の顔にナイフを突き付けていると…
梓が身を捩(よじ)ったので、チンピラのナイフの先が梓の目を突いた!
堪らず梓が蹲(うずくま)った。
「お前が悪いんだからな!動くから…!」
チンピラは梓の目から血が 沢山 出ているのを見て、怖くなったのだろう…逃げてしまった。
隆史は腹の痛みを堪えながら救急に電話をして、梓を見守った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます