第14話 隆史の決心は…

人生は一度きりだ。 

細く長く生きるのも良いが、

渡世人として太く短く生きるのも良いだろう。 


大体…俺には、学歴も特別な技能も無いんだから

…向こうっ気が強くてケンカには自信が有る…

ってデータを入れたら推薦する職業には必ず渡世人(ヤクザ)って成るからな。


かと言って川崎組へ一旦ワラジを脱いだ日にゃあ…きっと死ぬまで抜けられないだろうしな。


親父の残してくれた《東京スピンドール》だけを切り盛りしても良いし……。

どうしたものか?……

今なら…どちらの道でも選べる。


店の閉店後もバーテンダー、ウエイター、ホステス、ダンサーとも綿密な打ち合わせをする。

[今に店を増やして10倍~20倍の利益を上げる]

これが当面の隆史の目標だ。


そんな訳で朝の9時は眠い目を擦りながらの対応となる。


「隆史さん、おはようございます。 その後どうですか?」

川崎組の関係者は若い衆を集めるのに熱がこもっている。


「朝早くからご苦労様です。そちらは…どうですか?」


隆史は少しでも多くの情報が欲しかった。 

店の売り上げに繋がるかも知れないし…

それでは…川崎組へ…という事になるかもしれないと思ったからだ。


……………………………………………………


悩んだ時は…いつも梓姉さんの所へ来てしまう。

「梓姉さん…居る?」

隆史は鍵が掛かってなかったので…声を掛けながら姉さんのアパートに上がり込んだ。


「なんだ…姉さん居ないのか?」

鍵を掛けずに出掛けたのなら…

そう遠くまでは行ってないだろう…

と勝手にテレビを着けて観ていた。


少し眠ったのだろう……

目を開けると…梓姉さんがお昼ご飯の準備をしていた。


「タカ……良いんだけど……

帰って来て、男の人が中で寝てたらビックリするだろう。 

来るなら一本電話しなさいよ。」


「うん……。」

隆史は気の無い返事をした。


「何か迷ってるんだね…あの事かい? 川崎組の…… 」


隆史は梓姉さんに会えば…自分の心が決まると思っていたが…そういう訳では無かった。


隆史は梓姉さんのアパートを出ると、

タバコを買い…また姉さんのアパートに戻った。


梓は夕飯を作り…隆史に食べさせると満足し、

彼の横顔を見守った。


…………………………………………………

☆『いつも同じ場所にいて

同じ酒を呑む

貴方の指定席で 飛び切りのダンスを観れる店

《東京スピンドール》17:00~25:00 OPN』☆

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