第3話 小岩井町の梓姉さんの計略!

梓姉さん

「極楽がどうした!」


隆史

「熊井組の若い衆でケンと名乗る奴に殺られました!」


「死んだのか! 極楽が…ついに…死んだのか?」


隆史

「はい!親父の最期は俺が見とりました!」


「はははははっ!… 」


隆史

「姉さん!……!?」


「極楽ほどアコギな商売やってりゃな……ろくな死に方はしねえと思ってたよ! 

でも殺ったのが熊井組だと名乗ったのなら…黙っちゃいられない! 

この世界じゃあ…頭を取られたら敵討ちしなきゃあ任侠じゃあねえ!」


隆史

「姉御! あっしは…どうしたら良いんで!?」


「うむ! 弔い合戦をする所だが…ただの弔い合戦じゃあ分が悪い! 

きっと熊井組にヤられちまうだろう! 

戦争する前に一度……話し合いの場を持とう! 

若い衆の命が一人でも多く助かるだろうよ!」


隆史は感心した。感情のままに突っ込むヤクザ者が多い中、若い衆の命を大事に考える任侠が居ようとは!


……………………………………………………………

小岩井町の梓姉さんの所から帰った隆史は、目は吊り上げっているものの…気持ちは座っていた!


サブ

「兄貴! 俺に…俺に仇を討たせてください!」


隆史は「バカヤロー!」と一括すると…

サブを殴り飛ばした! 

そうでもしないと…この若い衆達が次々と仇討ちに出ていってしまうと彼らを案じての事だ!


隆史

「そんな身体で何が出来る! 

熊井組は殺ったほうだが…

ウチ以上に過敏になってる筈だ! 

モチロン、お前らの気持ちは痛いくらい分かる!

俺だって親父を殺られて腹の中煮えくり反ってんだ! 

熊井(熊井組)とはナシを付ける! 詫びを入れさせるからな!」


そう言うと隆史は夜の町へと身を任した。


……………………………………………………………「タカちゃん!… 」

隆史の事を呼び止める女がいた。


隆史

「サヤカじゃねえか! お前…故郷に帰ったんじゃあ なかったのか?」


隆史はサヤカを連れて行きつけのバーへ入った。


サヤカ

「聞いたよ…悪かったねえ…で、どうするんだい?」


隆史を取り巻く女達は気性が荒い……

[殺し→仇討ち]という展開以外の選択肢は無いのか…と隆史は苦笑した。


サヤカは この状況で薄笑いを浮かべる隆史の真意が理解し難く思えた。


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