■【右腕を代償に「黒ヘビの腕」を手に入れた少年の復讐劇】 ~ 死後、4000年の殺し合いを経て地獄最強の咎人となった少年が、地獄を抜け出し欲望渦巻く「闇の世界」で成り上がる!! ~
99話:目には目を歯には歯を、爆弾には爆弾を
99話:目には目を歯には歯を、爆弾には爆弾を
“
ボクの耳が正常に機能していれば、機械技師:ゼノスは確かにそう告げた。
しかしながら、こちらから尋ねておいてアレだけど、彼の言葉を鵜呑みにすることは難しい。
「本当にそんなこと出来るの? 爆発させないと取れないって聞いてるけど」
「あぁ、
「それを無力化って……どうするの?」
「簡単だ、爆発させればいい。それで爆弾は無力化される」
「そんなことしたらボクが死ぬんだけど。ゼノスって馬鹿なの?」
落胆の反動から出た挑発的な言葉に、すぐには言葉を返さないゼノス。
代わりに何故かコーヒーをもう一杯作り、それを飲むのかと思いきや、ベッドに横たわる男性に渡す。
「飲め、痛み止めの薬だ」
「え? あ、ありがとう」
戸惑いながら受け取り、それを飲む前に奴隷の男性は訊ねる。
「先生、さっきの話は本当か?
「気にするな、ただのジョークだ。もし本当に
「そ、そうか……そうだよな。しかし先生、痛み止めが必要な程の修理なのか? いつもは痛み止めなんて飲んでないのに」
「今回は神経近くまでやられてるからな。直す途中で悶絶して、痛みのあまり気絶しても大丈夫ってんなら飲まなくてもいいが」
「ッ――」
脅しが効いたのか、男性が一気に中身を飲み干す。
その僅か数秒後には虚ろな目となり、そのままベッドの上で眠りについた彼を見届けた後、スパナを片手にゼノスは呆れ顔をボクに向ける。
「――で、何処の誰が馬鹿だって? 言葉の扱いには気を付けろよ青二才」
「えぇ~? 青二才はそっちでしょ。出来ないことを見栄張って出来るとか言っちゃって、ありもしない希望を抱かせたら駄目だよ」
「おいおい、誰が出来ないと言った? “俺は無効化してやる”と言った筈だが?」
「え? でもそれはジョーク……っていうのは嘘ってこと?」
あの奴隷に知られたくないから誤魔化したと、そういう話か?
「でも、どうやって
「いや、本気だ。“DIR樹脂”を使う」
「……はい?」
全く知らない単語が出て来た。
自然と眉を
「
「え~っと……つまり、どういうこと? Dなんちゃら樹脂って何?」
「DIR樹脂だ。コイツの結晶構造が面白くてな、受けた衝撃が強い程に硬くなる性質を持っている。こいつの内側で爆弾を爆発させれば……あぁいや、別に細かいことは知らなくていい。とにかく、爆弾を取り外すのが不可能なら、極力安全に爆発させて無力化するって話だ。爆発はするがテメェは死なない。だから何も問題は無い」
「なるほど、最初からそう言ってくれればいいのに。専門家ってわざと難しい言葉を使って、自分を凄そうに見せるの得意だよね」
「……テメェの生意気だけは、無力化するのが難しそうだな。いっそのこと鍵付きの口に改造してやろうか?」
「不便そうだから遠慮しておくよ。鍵を失くすとご飯食べられなくて大変だし」
見た目はちょっと面白そうだけど、得られるメリットはその程度。
全身を機械化するなら一行の余地があるかも知れないけれど、今のところその予定は皆無で、どう考えてもデメリットの方が大きいだろう――などとどうでもいい考察はさて置き。
「でもさ、何でゼノスはこんな方法を知ってるの? ボクが聞いてすぐに提案が出せたってことは、以前から考えていた、もしくは既に実行した方法ってことだよね」
「ハッ、生意気な割に感は鋭いじゃねーか」
グイっと自分のコーヒーを飲み干し、小さなシンクでコップを水洗い。
それを水切りラックに乗せて、彼は
「この薄汚れた
「え? その首輪……」
驚いた。
ゼノスの首にも
今まで作業着で隠れていたけれど、彼も
「ゼノスも奴隷なの?」
「正確には違うが、似たようなもんだ。
「えっ、じゃあ何でまだここに居るの?
拘束するモノが無いのであれば、ボクならすぐに逃げ出している。
どう逃げたらいいのかはわからないけれど、
何が彼を引き留めるのか……その問いを受け、彼は煙草に火をつけ、吸い込み、煙を吐く。
「俺にはまだ、ここでやるべき事があるのさ」
「やるべき事って、奴隷達の修理?」
「それもあるが、本当にやりたいのはもっと別の事だ」
先ほど眠りについた男性を見て、それからゼノスは曇った窓ガラスに視線を送る。
その視線が見据える先は、一体何が映っているのだろうか?
「別の事って、具体的には?」
「そうだな……『目には目を、歯には歯を、爆弾には爆弾を』ってな」
■
最後に意味深な発言を残したゼノスだったが、それ以上の具体的な事は教えてくれなかった。
それでボクは追及を諦め、
まずは粘土みたいな素材で隙間なく
10分程で素材が固まると、皮膚と
そうしたら粘土みたいな素材に小さな穴を開けて、その穴からDIR樹脂とやらを流し込む。
先の隙間が樹脂で一杯になったら細長いコルクで穴を塞いで、鉄製の扉で仕切られた小部屋にボクが入れば準備は万端らしい。
「このコルク、光ってるけど何?」
「中に針が仕込んである。俺がスイッチを押せば、コルクの針が起爆装置をぶっ指してドカンッって寸法だ」
扉越しに訊ねると、かなり聞き取り辛い声が返って来た。
「なるほど……ちょっと緊張するけど、本当に大丈夫なんだよね?」
「問題無い、自分の身体で実験済みだ。ちなみに安全に爆発させるつっても、爆発の衝撃を全て吸収しきれる訳じゃないからな。骨の一本や二本は覚悟しておけ」
「え? それはちょっと聞いてな――」
小部屋の中で4つの
反響した音で耳がキーンとするけれど、それよりも問題なのは手・足・首の痛み。
物凄い衝撃で痛みを覚えると同時に、喉を潰されてまともに息が出来なくなる。
「痛ッ~~!!(何コレッ!? 洒落にならないって……ッ!!)」
痛みによる呼吸困難。
堪らず膝から崩れ落ち、涎を垂らしながら「ゲホッ、ゴホッ」と
すると、ギギィ~と音を立てて小部屋の扉が開いた。
「おぉ、どうやら上手くいったみたいだな。“初めて人で試してみた”が、コレなら俺自身に使っても大丈夫だろう」
「ッ!?」
「礼を言うぜ、おかげで良い実験データが取れた。俺の
「ッ~~!!(ボクを実験に使ったのか……ッ!!)」
―――――――――
*あとがき
「更新頑張れ」と思って頂いたら、作品の「フォロー」や「☆☆☆評価」もよろしくお願いします。1つでも「フォロー」や「☆」が増えると大変励みになりますので。
また、お時間ある方は筆者別作品「🍓ロリ巨乳の幼馴染み(ハーレム+百合*挿絵あり)/🌏異世界アップデート(純愛物*挿絵あり)/🦊1000階旅館(ほのぼの日常*挿絵あり)」も是非。
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