41話:ドラノア VS 廃棄怪物
ゴミ山から登場した瓦礫の巨人:
ゴツゴツとした無骨な太い腕で足元の大きな瓦礫を引っこ抜き、こちら目掛けて投げてくる!!
(ッ――コレはマズい!!)
瓦礫を避けるのは簡単だけど、背後に逃げ遅れたゴミ山の住民が見えた。
回避は諦め、右肩から黒ヘビを出す。
そして鞭の様にしならせて、振るう。
「“
上から下に、飛んで来た瓦礫をゴミ山に叩きつける。
そしてすぐさま「斬撃:“
(駄目かッ、鉄製の瓦礫が多過ぎる……!!)
生憎、ボクの斬撃で鉄は斬れない。
世の中には“雨垂れ石を穿つ”なんて言葉もあるが、そんな悠長な時間をくれる相手でもないだろう。
「ここは黒ヘビで行く!!」
相手は瓦礫で構成された化け物。
どういう原理で動いているかは知らないけど、元々「命」が無いのであれば手加減する必要も無い。
「“
右脚に噛み付き、そのまま身体から引き千切ろうとするが、“動かない”。
(硬くて重いッ……それなら――)
“
威力は斬撃の比ではない。
この衝撃で
バランスを失った
結果、瓦礫の身体が半分埋まり、そこから這い上がろうと
その
引き千切った瓦礫の右脚を咥えたまま、黒ヘビを思いっきり真上に伸ばし――力の限り叩きつける!!
轟音!!
爆弾でも投下したのかと、そう錯覚する程の衝撃。
今度こそ
それからしばらく
■
「全く、さっきのは一体何だったんだ……?」
ボクは改めて山頂の街:『ハッピータウン』を目指しつつ、先の不可解な出来事に首を傾げる。
いくら『Trash World (ゴミ世界)』がゴミで溢れているとは言っても、そのゴミが勝手に動くなんて話は聞いたことが無い。
危ない薬品が混ざって燃えるとか、爆発するとかならともかく、
そこで、ゴミ山の住人に話を聞いてみるも――
「
「知ってるのは、時々出て来てゴミ山を滅茶苦茶にする。それだけだ。こっちは生きるのに必死だってのに」
「むしろよ、お前が操ってるんじゃないのか? 俺は見てたぞ、その右腕から奇怪な黒ヘビが出てくるところを……」
「まさかッ、その黒ヘビが瓦礫を操っているのか!?」
――この様に、あらぬ疑惑が向けられるだけ。
大した情報を得られぬまま、ボクは早々に彼等の元を立ち去った。
(……まぁいいや。ボクにはどうしようもないし、今は『ハッピータウン』に辿り着ければそれでいい)
先日の野盗に襲われた街も、このゴミ山もそう。
過酷な環境下には同情もするし、そんな場所で生きなければならない境遇を可哀想だとは思うけれど、思ったところで何が変わる訳でもない。
そもそもボクが彼等に手を差し伸べる義務は無いし、現実的に出来ることも皆無。
出来ないことに頭を悩ませるくらいなら、一歩でも前に歩いて、目的地へと近づいた方が賢明だろう。
かくしてボクは、ゴミの谷間から唯一見える山――
――――――――
――――
――
―
~ 数時間後 ~
太陽は顔を隠し、空には汚いゴミ山とは正反対に綺麗な星空が広がっている。
時刻は既に「夜」の時間帯を迎え、ボクは
(出来れば今日中に着きたかったけど、流石にゴミ山が広過ぎたね。まぁ臭い匂いにも慣れたし、寒くなったら“地獄の熱”で温まれるから問題は無いんだけど……)
体力面に関する不安をそこまで無いものの、しかし他の不安要素ならあった。
(少し前から“付けられてる”んだよねぇ。しかも相手は子供っぽいし)
尾行に気付いたのは30分程前。
ゴミ山の住人が居た場所から随分と離れているけれど、ボクの後を付けてくる小さな人影があった。
最初は「乞食」かと思ったものの、いつまで経っても姿を見せず、声も掛けて来ない。
恐らくは「盗み」目的だと思われるが、だからと言って素直に盗ませてあげる程ボクもお人好しではない。
「ふぁ~~、あ~、眠たくなってきた……もう寝ようかな」
あえて「寝たふり」を決め込む。
綺麗な星明りの下、相手に聞こえる声で独り言を呟き、線路横の僅かな地面で横になる。
瞼を閉じ、動かずジッとすること数分。
ボクが寝たと思ったのか、遂に相手が動いた。
耳を澄まさなければ聞こえない微かな足音で、ゆっくりとこちらに近づいて来る。
近づいて来た小さな身体から、ボクのポケットに手が伸びたところで――
「盗んじゃ駄目だよ」
「わッ!?」
驚いた相手が逃げようとするも、もう遅い。
ボクの左腕が小さく細い腕をガッチリと掴み、窃盗犯を逃がさない――その筈だったのに、“逃げられた”。
「なッ!?(素早い……ッ、けど、ボクの方が速い!!)
地獄で4000年も鍛えた今、子供相手に負ける脚ではない。
すぐさま走り出し、更には黒ヘビの右腕を伸ばし、リーチの長さも生かしてあっという間に子供を捕獲。
黒ヘビでグルグル巻きにすると、その子供が涙目で叫ぶ。
「離せ!! アタシを食べても美味くないぞ!!」
「いや、別に食べる為に捕まえた訳じゃ――って……“尻尾”?」
素直に驚く。
捕まえた子供に“尻尾”が生えていて、更に頭には“獣の耳”が生えていた。
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