かくれんぼ

文章は皆の味方。楽しいものだ。

キーボードを叩いて布団に入る。ドーパミンで満たされた脳はなかなか眠りにつけないでいる。

目を覚ましてすぐにスマホをいじる。ブラウザアプリを開くと、投稿した作品はたくさんの人に見られていて、ハートが送られていた。

まだ小さいとき、遠足前の僕はこんなんだったな。胸がドキドキしているけれど、別に緊張はしていない。これが気持ちいいってことか。


外はまだ寒い。春の陽気は昼から顔を出す。布団に包まっているときの暖かさは他の何にも代えられない。

皆が僕を見てくれる。今日もまた小説書くんだ。

誰も僕に「起きろ」「働け」「学校に行け」だなんて言わない。

スマホで動画を見ているとニュースの動画が再生された。

殺人事件。汚職。うまくいかない国交。

画面をスワイプして急いで違う動画に切り替えた。現実はなるべく避けたくて。

結局どの動画も面白くない。ありきたり。ふっと笑わせてくれるものも「なんでこんなんで笑ってるんだろ」と余計冷たくなってしまう。

酔いが醒めた。また寝よう。

僕は頭から布団をかぶった。



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義務感は何物にも崩れることはない 泉葵 @aoi_utikuga

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