第6話

エピローグ Phase End



 ノアは自宅のポストから一通の手紙を抜き取り、部屋に戻る。

 あれから、ウイルスを治す手段を手に入れた政府は、数百人の語創者たちに協力を仰ぎ、ドームに生存していた紫血鬼たちの中にある怒りを、一人ずつ取り除き、人間へと戻していった。

 また、尊の証言と元より狩猟システムに反対していた人権派の後援もあり、責任追及を受けた政府は、紫血鬼肉の売買には一切触れず、ドームシステムを即刻廃止とし、拘わっていた主要人物が晒上げられ、逮捕されるというあっけない幕引きで終わった。

 協力的な姿勢から尊を許したルナは人間に戻ることができ、戻った後も病気が再発することはなかった。

 だが、根幹からの撲滅を望む人権派の追求は終わることはなく、ドーム内のことをよく知る数少ない証人として、ルナは当分日本残ることとなった。

 そんなルナの近況を知れるのは、月に一度送られてくる手紙だけであった。

 まだ当分帰れそうにないという旨が書かれた手紙を読み終えたノアは、机の引き出しから便箋を取り出し、募った気持ちを吐き出すようにペンを走らせる。

 そのペンは一瞬たりとも途絶えることなく、便箋の上を走っていく。

 真っ黒のインクを出し続けながら。




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Exceller @syu___

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