第20話

4人が村に戻ると薬屋のおばあさんが駆け足で近付いてきた


「あなたたちがリッチを倒してくれたのね!」


「はい、そうで」

アイトが答えようとするとライが割って入ってくる

「そうさ、僕たちの手にかかればあんな骸骨なんて取るに足らんよ」


「ん?あなたは村人に捕まってた子じゃないか、まさかリッチを倒せるとは思ってもいなかったよ」


アイト、リサ、セラはクスクスと笑っていた


「ぐぬぬ」



「村人全員正気に戻ったから次来る時はちゃんとおもてなしさせてね。本当にありがとう」


「いえいえ、困ったことがあったらまた言ってください」


アイト達はひとまず始まりの町に戻り回復アイテムを補給し、ステータスを割り振った所で

イベントの通知が来た


全プレイヤーの前にウインドウが表示された


『モンスター討伐コロシアム』

内容は出てくるモンスターを多く倒せたプレイヤーが商品を獲得できるというの


景品は『引き継ぎ券』と書いてあったが何の引き継ぎかは書いてなかった



「おぉ、イベントじゃないか。なになに」

ライが楽しそうにしていたが急にテンションが下がった


「これはなんなの?」

リサはあまりイベントには興味が無さそうだ


「モンスター討伐コロシアム?」

アイトは首を傾げる


「コロシアムという事はモンスターを順番に倒していくイベントだと思います」


「景品が曖昧なものだから僕はイベントには参加しないことにするさ」


「あたしも不参加かな。戦闘も好きだけどクエストをする方が好きだもの」


「・・・・・・え、しないの?」

アイトはてっきりみんなで戦うぞー!的なノリで参加すると思っていた


「君は参加したいのかい?」


「うん!」


「ゴンザレスでも誘ってくれたまえ」


「ゴンザレスって?」


「僕が見つけてきた性格に難がある優秀な騎士さ」


「人の事言えないでしょ」

リサはじーっとライを見ながら言った


「そっか〜みんな参加しないならゴンザレス誘う事にするよ」


だいぶ落ち込んでいるようだ



「ここら辺でそろそろ僕はログアウトするよ」


「私も今日はここまでで」


「あたしはもう少しやっていくよ。アイトは?」


「回復アイテム採取してからやめようかな」


「じゃああたしと一緒に採りにいこ」


ライとセラはログアウトした


「新しいスキルのアイテムサーチが使えるようになってさ、森に行けばすぐに場所がわかるの」


「へ~さすが冒険家、早速ガルトの森で治り草と元気で草を集めていこう」


「おー」


始まりの町からガルトの森まで移動してきた


「じゃあ早速、アイテムサーチ!」

アイトには特に変化はない


「あっちね」

リサは指をさしてどんどん進んでいく


「え、もうわかるの?」


「そうよ、スキルを使ったあとは一定時間アイテムが光って見えるの。ここに元気で草が一つね」


「おぉほんとだ」


「こっちにも元気で草」

リサが二つ採取して一つ分けてくれた


「はいこれあげる」


「ありがとう、俺なにもしてないや」


「別にいいよ、ついて来てくれてるだけで助かるから」


「アイテム採取じゃ役にたたなそうだからちょっとガルト倒してく?」


「ちょっとコンビニ行ってくるみたいに言わないで」


木の後ろからゴブリンが現れリサに襲い掛かってきた


「せい!」

短剣でゴブリンを切り刻み倒す


(俺が間に入ってゴブリンを一撃で倒す。なんてことできたらかっこよかったんだけどなぁ・・・・・・自分で考えてて恥ずかしくなってきた)


「さ、まだまだあるから行くわよ」


そのあとも数回ゴブリンを倒して治り草と元気で草6個ずつ確保できた


「あたしはもうログアウトするね」


「うん、助かったよ」


「ばいばーい」


「おつかれさまー」


リサがログアウトした


「もう夜遅いし夜食でも買って寝ようかな」


アイトもログアウトした


ゲーム機から出て近所のコンビニに行き買い物を済ませ帰る


「夏とはいえ夜は少しさむいな」

なんて思いながら横断歩道を渡ろうとするとトラックが信号無視をして突っ込んできた

「やっべ!?」

スレスレでトラックを回避し、安堵する


「ふぅー、あやうく異世界転生するとこだったぜ」


信号無視は危険だ

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