第12話

ムビリから急いで離れたあと周囲のモンスターが居ないか気を使いながら軍人のように草むらに寝そべった

(・・・・・・馬車を待つのは別に良いんだけどいつまで経っても来なそうなんだけど)


後ろから鳥の羽音が聞こえる

(鳥でも飛んでるなこれ、フン落とされる前に移動しよ)

よっこいしょと立ち上がるとアイトの頭があった場所に鳥のモンスターが通過した


「あっぶね!?今なんか通った!?」

空を見ると

『ホーク』


鳥型のモンスターがアイトを狙っていた


「空にいるタイプのモンスターなら」

ホークを狙い邪炎弾を放つが翼を掠めるだけだった


(デバフは入ったからあとはMP温存でカウンターで倒そう)


ホークはアイトの上をクルクル回ってから急降下して襲ってきた


アイトは剣をバットのように構える


(さっきより速度は落ちてる)

ホークが目の前に迫る

「ここ!」

大きく剣を振ってホークにぶち当てる


ホークは顔面に剣が当たり地面に吹き飛ばされヨロヨロと飛ぼうとしている、もう飛ぶ体力はなさそうだ


アイトはホークを追い、一回斬りつけるとホークは消滅した


鋭いくちばしがドロップしていた

鋭いくちばしを拾い

「今日の晩御飯唐揚げにしよ、作った事ないけど」

たった今襲われた鳥型モンスターを倒して唐揚げを食べたいと感じるのは少数派だろう


今の戦闘で大きな音を出してしまったため村人に見つからないよう2度目の潜伏を始めた

村を見るとNPCの姿は無くひとまずは安心出来た


それから30分程だろうか、1台の大型馬車が見え始めた

「やっと馬車が見えてきた」

アイトは立ち上がり馬車に向かって手を振る


アイトの前で馬車が止まり

「どうしました?」

馬車の中から青年が言った


「フェアゲンって所まで行きたいんですけど、よかったら乗せて貰えないですか」


「それならちょうど良かったです。こちらも道中モンスターに襲われた時の事を考えて護衛が欲しかったんですよ、さ、乗ってください」

運転席の横に座らせてもらった


「フェアゲンってどんな所なんですか?」


「僕の地元なんですけど大都会ですよ、なんでも揃うので朝の市場は大賑わいです。街の雰囲気も良くて夜は酒場で飲みすぎてしまいます」

アハハと苦笑いをしている


「今日は天気も良くてモンスターもいなさそうなので1時間程で着くと思いますので荷台で休んでいてください、モンスターが来たら言いますね」


「そうさせてもらいます」

荷台に荷物は無くムビリで売りさばいたのだろう


ガタゴトと1時間程進むと大きな都市が見えてきた。周りは石壁に囲まれている

「到着です」

アイトは荷台から顔をだし


(こんな町ゲームでしか見たことないぞ、ここゲームだった)

「俺はここで降りますね、ありがとうございました」


「いえいえ、商店を開いていますので良かったら来てください」

そう言って別れた


街の入口は大きな門があり、そこで鎧を身に纏う兵士が門番をしているようだ


門を抜けると広い道が続いている。大通りには出店もあり祭りをしているかのように賑やかだ


「さて、初めての街に来たらやる事はひとつだな」

アイトは装備屋を探し、ショッピングでもしようかと考えた


大通りから北東の方に何も考えずに歩いていたら運良く装備屋があった


「装備屋だ、なんか良いのあるかな」


大きな二階建ての店の扉を開くと銀色の装備たちが目立っている


なかに入り装備を眺める。強い装備があれば購入したい


・銀の剣 ATK27 POW3 SPD3

・銀の胸当て DEF20 VIT2 SPD2


今の装備の方が強いため購入する必要は無さそうだ


「装備は買わなくて良いし、回復アイテムも買わなくて良いからクエストでも探すか」


クエストをこなしレベルを上げ、リッチ戦に備えることにした


NPCが多く居た大通りで困ってる人を探す


さっきはあまり良く見ていなかったが色んな物が売っている


・野菜、果物

・串焼き

・回復アイテム

・金属の塊


などが売っている。アイトは金属の塊が置いてあることに驚き出店に近付いた


「いらっしゃい、どうだこの素材があれば装備の制作ができるぞ」

鍛冶屋風のムキムキおじさんが話しかけてきた



目の前の金属の塊たちに2回タップすると画面が出てきた

・鉄の塊

・銀の塊

(金属の素材?これがあれば装備作れたりするのかな)

ひとまずは1つずつ購入した。どちらも300ゼンだ


「まいどあり、そうだ1つ頼み事を聞いてくれねーか」

「なんですか?」


『クエスト』

鉱山で金属の塊をもってこよう

・報酬

鉄の塊 10個

銀の塊 10個

「全然良いですよ、どこに行けばあります?」


「おお!ありがてえ、街から西に行ったところにプラトー鉱山がある、俺が持って帰れなかった鉄と銀の塊が置いてあると思うからそれを持ってきて欲しい」


「分かりました、じゃ行ってきます」


「おう頼む、気をつけてな」

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