第8話

「おっとっと失敬失敬、僕の名前はライオネルフォンブレイザーアルティメットダークファンタズマスピリチュアルスターダストハイパーヴォルケニックエヴォリューションだ」

一息で言い切った


(長すぎだろ!名前に文字数制限なかったのかよ!!)

「ライおね・・・」


「ライでいいさ」


3人はフルで呼ばなければいけないのかと一瞬ヒヤヒヤしたが2文字で済むことに安堵した


「ら、ライさんもボスを倒しに来たんですか?」

少し怖がりながらセラはライオネル……ライに話しかけた

リサとセラの2人はアイトを盾にしている


(頼む2人とも、押さないでくれ)


「そうさ、僕もアイツを倒したいと思って来てみたら先に別のパーティーが戦っているのを見て1人じゃ勝てないと気付かされたよ」


3人は広場で歩いていたパーティーを思い出した


(5人パーティーで負けたって聞こえたしな)


「そこでだ!アイツに挑もうとするパーティーにくっついてしまえばいいと考えた。僕の職業はレベル6のクレリック、パーティーに一人居れば確実にボス戦は安定する・・・・・・どうだい?」


どうだい?と言われても変なやつと一緒に遊びたくないし


「パーティーに入りたいんだってさ、二人はどう思う?」

アイトは小声で聞いた


「あたしはどっちでもいいよ、変なやつだけど悪いやつじゃなさそうだし」


「私も賛成です。クレリックがいればアイトさんのHP管理が楽になりますので」


「そちらのお嬢さんたちは僕に惚れているようだが、君はどうなんだい?」


「惚れてません」

「アホじゃないのあんた」

リサセラは呆れたように言った


(あぁ疲れるタイプだ、けど二人も賛成してくれてるしクレリックは絶対欲しい職業だから)

「これからよろしく頼むよ」


ライはパッと笑顔になりパーティーに加入した。嬉しかったのだろう


「君たちの職業とレベルを教えてくれたまえ、僕の足を引っ張らないでほしいからさ」


(((あ、うざいタイプ)))

なんて3人は思った


アイト 邪剣士 レベル10

リサ  冒険家 レベル8

セラ  タクティクス レベル8

役割も伝えると


ライは落ち込んだ様子で

「僕が一番レベルが低い・・・・・・しかもユニーク職入りのパーティーだったのか。だがしかしこのメンバーならアイツをやれる!ゆくぞ君たち!」

意気揚々に花畑の先に進んでいく

「ちょっと待てって」

3人は仕方なくついていく


花畑はとても広く、奥へ奥へ進むと大きな熊が花をむしり取り食べていた

遠くから眺めている分には襲ってこないらしい


「アイツだ」


『ジャイアントグリズリー』

4メートルサイズの大きな熊だ


「大きいです・・・・・・」


「あんなのに本当に勝てるのかしら」


「5人パーティーがあっさり負けていたから油断はできないが、僕たちなら倒せるさ」


「ワクワクしてきた」

ジャイアントグリズリーが見えてきた頃からアイトはニヤニヤが止まらない


「強敵に戦術を駆使して戦うって、勝っても負けても楽しいよね」


「確かに、僕もここまで大きいモンスターはやっぱり興奮するよ」


「ゲームって感じね」


「私も楽しくなってきました」


アイトは剣を構え

「気合が入ったところで早速行こう!」


4人はジャイアントグリズリーに向かって走り出す


距離20メートルまで近づいたところでジャイアントグリズリーはアイトたちに向かって咆哮を繰り出した


「うぐっ」

4人は一瞬驚くがダメージがなかったため戦闘の合図だとわかった

アイトは剣を下げる


「クシス!」

アイトが一瞬輝きATKが上昇した。その瞬間剣から黒紫の炎が漏れる


「邪炎斬!」

遠距離から黒紫の斬撃がジャイアントグリズリーに直撃する。デバフが入った

(よし、後はスキルと通常攻撃でHPを削る)


と思っていたがジャイアントグリズリーは思っていたほど優しくは無く

デバフが入っているにも関わらず素早く近づきアイトを太い腕で薙ぎ払った


「やっべ!?」

剣を盾がわりにするが大きく吹き飛ばされてしまった

花をつぶすように転がり、なんとか立ち上がる。残りHPは50、今の一撃で140も食らってしまった


「アイト!大丈夫!?」

リサはジャイアントグリズリーにとりもちを放つが全身にヒットとはいかず前足だけ地面とくっつけることができた


「これは想定外だっ、ヒール!」

アイトの体が光りHPが全回復した


「今ので140持って行かれた!」


アイトは3人の前に立ち

「邪炎弾」

ジャイアントグリズリーにヒットする


「バフをアイトさんに集中します、ブルト」

アイトが輝きDEFが上昇した


(俺はこれでなんとか2発は耐えられそうだけど、3人は一発も耐えられないかもな)


ジャイアントグリズリーは腕を振りまわし、とりもちを強引に引きちぎった


「くるぞ、こっちにきたら最悪僕が攻撃を受ける。アイト、君は攻撃に集中するんだ」


「ライが攻撃を受ける?」

クレリックはDEFが低くなりやすい職業のため、ライの言っていることが理解できなかった

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