第5話お局様の落日

西村が会社に到着して、現場の作業服に着替えると、事務所で待っていた。

15分ほど待つと、ナマズ顔の天野が作業服で現れた。

現場の人間はハイエースに乗り込み、市山が車のキーを天野に渡した。

「今日から現場の天野さん。あんたが、一番の新人だから運転手だよ!」

「……」

天野はハイエースを運転し、現場へ向かった。

天野は全く仕事の出来ない女だった。

書類上の木材を探せど探せど見付けられない。

「おいっ、あんた。次の仕事があるんだぞ!書類、見せろや」

西村は天野から書類を奪うと、3分も経たず木材を見付けて、キズの有無を調べキズの箇所はカメラで写した。

「天野、お前、夜勤だからな」

「……わ、わたしはそんな夜まで働くなんて聞いてないわ」

「なんだって?朝まで大丈夫?よし、お前夜勤決定」

「理不尽よっ!」

「お前が今までしてきた事だろうが!」

「わたし、帰る!」

「いいぞ。現場放棄は懲戒免職だからな」

「……」

天野の目には涙が浮かび、西村を睨んでいた。その日は、天野と男性職員の3人と西村が夜勤をした。

全く使えない天野は後輩から、罵声を浴びせられた。

それから、3日後。

天野は会社に出勤しなくなった。それが2週間続き、懲戒免職になった。無断欠勤は重罪だ。

岩田は地方に飛ばされ、西村が係長に就任した。

西村は、自分が手配師でも率先して現場に出た。

課長は西村の言いなりだった。

こうして、ブラックな企業の一部が浄化された。

天網恢恢疎にして漏らさず。

悪は必ずバレて、しっぺ返しを食らう。

天野はその内、噂にもならない人間になった。


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全てはお前が悪い! 羽弦トリス @September-0919

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