第2話
「……え、どういうこと?」
少し落ち着いた後、美海の分の飲み物の注文も終えてあたしたちはお互いの近況を報告する流れになった
「つまり、私たちがその、恋人同士になって一緒に暮らすことにしたの」
「ごめん。意味が分からないんだけど……柚季?」
美海は頭の上に?マークを浮かべてあたしの隣にいる柚季に顔を向けた
柚季は指を組んで少しうつむいている
「玲香が言っていることは本当なの。私と玲香は付き合うことにしたの」
「疑問が全く消えないんだけど……柚季が言うならそうなんだろうけど」
「おい何であたしが言った時点じゃそこまで納得しなかったんだよ」
「だっていつもつっぱしりまくる玲香だしなぁー?」
目を細めて手のひらを水平に広げる美海
こいつめ、もう一度カフェオレをお見舞いしてやろうか
ぎりぎりと力が入る拳を押さえこんでふぅ、と息を吐く
「今回は大真面目なの」
「……私だけじゃなくて、2人も色々あったんだね。何があったのさ?」
「うん。話すよ……柚季、いいよね?」
「もちろん、美海なら」
柚季が嫌がりそうかなと思ったけど大丈夫みたい
隠し事なんてする間柄じゃないけど、一応聞いておきたかったんだよね
あたしは手をカフェオレから膝に置いてゆっくりと話した
本当は大学の卒業直後からの事を話したかったけど、今はそんな気分にはなれない
だからあたしと柚季が部屋を探していることから始めることにした
「……つまり、同時期に仕事をクビになったから勢いで恋人同士になってそのまま住む場所を探しているけど中々見つからずにカフェでグダっていたと」
「グダってない! ちょっと休憩してただけ!」
「見栄を張らなくても分かるよ。玲香のことだからかたっぱしから不動産屋を巡るつもりなんでしょ?」
「ふぐぐ、まあそうなんだけど」
さすがあたしたちの親友、あたしのことをよく分かってらっしゃる
「なんでクビになったのとか、なんで恋人同士になったのとかそもそも女同士だしとか突っ込みたいことは沢山あるけど、とにかく部屋が必要ってことなんだ?」
「うん。玲香が頑張ってはくれているんだけど……」
「仕事がない2人用の部屋ってのが中々見つからなくってねー……」
「そっかぁ……」
流石に普段から軽いノリの美海も、あたしたちの話にシリアスになっている
「あたしは柚季と一緒に住みたいの。クビになった時に分かったんだ、本当に困ったときに一緒にいれる存在が大事だってことがね。柚季だってそうでしょ?」
「うん。あの時玲香がいてくれて嬉しかった。美海、私は玲香が側に居て欲しいの」
「そんなに一緒に住みたいのかぁ。でもなぁ……」
美海は目を閉じてうなった……と思ったら目を輝かせてあたしたちに身を乗り出した
「なら私も一緒に住ませてよ?」
「「……え?」」
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