魔導の名門の家に生まれながらも、体質からこの世界の優れた魔導士としては一般的な大規模な攻撃魔法を使う戦い方ができないため、創意工夫をこらした独自の戦い方で何とか道を切り開いてきた主人公のテオは、それでもどこかスタンダードから外れている自分自身のあり方に自信が持てないでいました。
そんなテオが、どこまでも真っ直ぐな人馬のヒロイン・メルに純真な想いを向けられ、彼女の想いを受け取りながら徐々に世界と自分のあり方とを何らかのかたちで調和させんとしていきます。
二人は結婚する運びに。
人馬がヒロインという点だけでも、ど、どういうこと!? というユニークな作品なのですが(笑)、強気な金髪の妹のエリス(こちらはテオと違ってエリート)、メルの部隊のメンバーである人鳥(ハーピー)の斥候・伝令のアルマ、猪人(ザウマン)の重装兵・ギルマンなどなどとキャラが立った人間&亜人の面々が登場してきて、面白さのギアが上がっていきます。
「幕間 ユーラヒル参謀本部にて」では本作の「世界」のスケールがグっと広がって、俄然面白くなってきます。この広大でかつ一筋縄ではいかないような世界で、上記のユニークなキャラクターたちがいかなる活躍を見せていくのか。
謎の(という言い方は失礼かもしれませんが……)面白さがある、ワクワクと読んでしまう作品です。