第一話 6-5

「ふ〜ん。ま、悪くはないわね」


 ネイアが長老職のことなど、如何にも興味なさげに呟く。無論、一般人にすれば悪いどころの話しではない。


「……それって、凄いことなの?ネイア?」


 孤児院暮らしで金銭感覚の乏しいアベルが問い掛ける。


「そうねえ、アベルが私の為に死ぬ気で働いて得るお金の、3,4年分ってとこかしら?」


 ネイアは一般に照らしても、かなり高額な俸給を提示して見せたのだが……


「うげぇっ!それじゃ全然割に合わないや!大人しく畑耕して、牛でも飼ってたほうが全然マシ……っっいつつつっ!」


「おだまんなさい!せっかく高く評価してあげたのに、なんて言い草!」


 アベルは言い終わる前にその頬をネイアによってつねり上げられ、呻き声を発していた。


「確かに、理不尽ですねえ、アベル君の言う通り。ご友人との関わり方と使用人の待遇について、改善する様ご忠告しますよ?ネイア」


「大きなお世話様!で、お話しはこれでおしまいかしら?」


 背後で一連のやり取りを内心微笑ましく思いながらも表情を崩さないリーフが、アルベルトに視線をむけた。

 それに気づいたアルベルトは、軽くうなづく仕草をして話を再開する。

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