第一話 6-4

「っ!……お母様からのっ!」


 今日という日はネイアにとって、驚きの連続であった。


「どう言う理由で、その様な言葉を残されたのか、私知るところではないので聞いても無駄ですよ、ネイア」


 その経緯を聞きたいであろうことを察したアルベルトが、機先を制しネイアに言った。


「これで一応、遺産についての説明は終わりです。次は……」


「うへぇ、まだ何かあるんですか?先生。もういい加減、うんざりだわ……」


「お気持ちは察しますが、フォレスト商会としてはここからが本題ですので」


 心してお聞きなさい、アルベルトの瞳が再び鋭くネイアを見据える。流石に慣れてきたのか、ネイアは神妙に姿勢を整えながら、それを受け流した。

 隣のアベルもまた、テーブルの上に乗り出さんばかりの体勢を元に戻した。


「次はフォレスト商会長老及び代表代行、その権限と権利、支給される年金についてです」


 先ずネイアが商会長老職に就任する、しないに関わらず年に500ギルダールを今後十年間、合計5000ギルダールが支給されることとなる。

 加えて、ネイアが長老として経営に参画するなら、その基本俸給として年2500ギルダールが支払われ、年金がそれに上乗せされる。

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