第一話 6-3

 アベルも興味あるでしょ?と、内心が表情として現れていたことを取り繕う様に話しを振るが、アベル自身は別に、と素気ないものであった。


「……そうですね。効果を確かめないことには何とも言えませんが、通常の取引相場ならブラッディソードにそれぞれ8000。指輪は対で5000ギルダールと言ったところですか」


 それは、ごく一般的な取引相場のそれ以上でもなく以下でもなかった。が、それでもネイアが受け継ぐ遺産の総評価額を上回る。


「……なんだ、案外安いのね」


「あくまでも、一般流通しているものと同等であると仮定しての額です。この品々の真の価値、効果を確認して以後は天文学的な数字に跳ね上がるか、はたまた0。或いはそれ以下か……」


 評価が0以下と言うのは、それが命に関わる様な呪物。死に至る呪いがかけられた品であり、そして解除不能な代物であることを示す。


「つまり、鑑定不能。そう言うことね」


「ですね。まあこれらが例え何の魔力もない一般的な指輪と双刀であっても、我がフォレスト商会は買取りも引き取りも致しかねますがね」


「……それってどう言うこと?」


「厳命、なのですよ。この品物を必ず貴女に受け継がせると。他ならぬ貴女の母君、シルヴァーナ様からの」

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