第一話 2-5

 だが最初の1年間、ネイアは周りからの『孤高の才女』と言うイメージが強く、その容姿とも相まって男女ともに近寄りがたい存在ではあった。

 ネイア本人も自身の学業成績の、思わぬ伸び悩みから余計に寡黙になりがちであり、その印象を強めることととなった。

 それがアンジェリカとともに多くの時間を共に過ごすようになると、近寄りがたい印象は次第に薄れ、アンジェリカがそうであるように勉強を教わろうと、彼女の周りには多くの女子達が集まるようになった。

 世話好きな彼女も、それを快く受け入れた。ネイアにとってアンジェリカの存在は、心象面でとても良い影響をもたらしたのである。


 ……治癒術習得には、何ら寄与しなかったが。


「おっはよ〜っ!起きてるか〜い二人とも〜」


 突然勢い良く、部屋のドアが開かれた。ノックもなしにいきなりの闖入者。基本的に女子寮、各部屋の扉には施錠できる鍵はない。いろいろと問題があるのではないかとネイアは思うのだが、その点を寮母たる導師に問うたところ、


「その程度は、施錠の魔法か簡易結界で代用できるでしょう?」


 と返され、改めて自分は魔法魔術学院に来たのだと言う、自覚を促されたものだったが、しかし……


「……ジェイミー、女性の部屋に入るときはノックぐらいしなさい」


 このやりとりも、ここ最近の日課である。

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