第14話 スローライフ始めました

『これで良いなの?』


 流石はネージュさん。


「最高だよ!」


 デデーン。


 そこには土壁に石の屋根の小屋があった。


 今日は土魔法で小屋を作る予定だと話したら、何故かやる気になったネージュがオレの説明だけで造り上げたのだ。


 オレの土魔法の土壁より、ネージュの生活魔法の方が凄いって言う理不尽なまでのレベル差だな。


 ドアまでは付けられなかったが、中は六畳程の広さの土間だ。


 ちゃんと窓も作ったよ。

 ストーンでガラスが作れたんだよね。

 窓枠が難しかったから、はめ殺しになったけど。


 その横にある高さ1.5メートル、幅1メートル程の土壁がオレの精一杯だよ。


 攻撃を防ぐ間の数秒なら魔力は少なくて済むんだが、ずっと残す壁にするのが大変なんだよ。


 マジカル草の味を星苺で誤魔化しながら、三方を囲むように土壁を作り、残り1ヵ所だけ跨いで入れるくらいの高さにしておく。


 屋根にドーム型の石を被せれば、今の身長なら頭も当たらない。

 真ん中に穴を掘ってトイレの完成だ。


 出入口の目隠しになるように、ネージュに壁を作ってもらえば大丈夫だな。


 ここまで来たら風呂場もネージュに作って貰った。

 これで開放的な空間でのアレコレは解決した。


 後は木材の加工が出来ればいいんだが、何だかネージュなら出来てしまう気がする。


 近くの森に杉のような真っ直ぐな木があったので、ネージュが切断カッターで倒して板状に加工して乾燥ドライさせる。


 やっぱり出来ちゃいました。


 ここの周りにいた熊もカッターでサクッと倒していたし、生活魔法を使いこなしてるよね。


 素材はヘルベアーの魔石(S)とヘルベアーの爪(S)とヘルベアーの毛皮(S)だった。


 これでレベルが30になった。

 鑑定と収納と土魔法が1ずつレベルアップしたよ。


 そして新たに風魔法を覚えた。

 カッターを使っていたらピコンと鳴ったんだよね。


 収納は8メートルくらいまで入るようになったから、杉板も入ったよ。


 力とかも上がってるから、自分の身長より長い木も楽々運べる。

 ただ、相変わらず毛皮にナイフが通らないので、どんだけ硬いんだって思った。


 そうそう鑑定したら見える項目が増えていたよ。


【名前】ヘルベアーの毛皮(S)

【性能】防御力163・耐久力90

【備考】ヘルベアーから取れた毛皮。硬くて丈夫。暖かい。


【名前】初心者のナイフ(EX)

【性能】攻撃力5・耐久力∞

【備考】初心者のナイフ。攻撃力は低い。壊れない。


 EXてなんだよと思ったら、SSSすら超えるアーティファクトが極稀に見付かるんだとか。


 これって昔から抽選で能力を与えた転生者を送り込んでいるから、そいつらの持ち物の事か。


 後はたまに現れる魔王(!)がEXランクだという情報がある。

 まさかとは思うが、調子に乗った転生者がやらかしたとかじゃないよな?


 しかし、ただのナイフだと思って鑑定してなかったが、壊れないナイフなんて攻撃力がショボくてもアーティファクトにされるはずだよ。


水筒だけは流石に無限に水が出るのは問題があるのか、使用者が限定されているから限定品になっているようだ。


でも、これも落とし穴があって、初めに使用した者しか使えないと書かれているのだ。

最初に他の人に使われたら、ソイツの物になってしまうって事だよ。


 初心者セットは干し肉とパン以外は全部耐久力が∞だったし、絶対にバレないように隠蔽しておこう。


 素材もAランクまでなら収納に入れなくても鑑定出来るようになったから、これで無駄に刈り取る必要がなくなったな。


 何の効果もない草は乾燥させて焚き付けにしてたから、無駄にはならないけど。


 ネージュの口が肥えてしまったから、生肉は卒業かと思ったら、これはこれで美味しいらしい…


 口の周りを血だらけにしながら笑うのは止めて!

 思わずクリーンを連発しちゃったよ。


 それから小屋まで戻って、床に杉板を敷き詰める。

 釘がないが、細く尖らせた石を打ち込んで固定した。


 ベッドの代わりは、毛皮か干し草を敷くのが良いかな?

 天然の毛皮ネージュがいるから暖かいけど、姿勢が不自然になるから起きた時に身体が痛いんだよな。


 狐の毛皮を出してクリーンで脂や肉を綺麗にする。

 ネージュに頼んでウォーターで洗ってもらった。


 うろ覚えの知識で塩をすりこんでみる。

 岩塩も無限に使えるから助かるね。


 またネージュに洗って貰ったら、ドライで乾燥してみる。

 う~ん、ゴワゴワしてるな。


 でもクリーンをしたからか臭いもほとんどしないので、敷物には出来そうだな。

 石で櫛を作って梳かしてみたらマシになった。


 ついでにネージュも梳かしてあげたら喜んでいた。

 ブラシも頑張って作ってみるか。

 熊の毛なんてちょうど良い硬さだと思う。


 竈も小屋の側に作って、お昼は兎と鮭の香草焼きだ。

 それとマンゴーっぽい果実があったのでデザートに食べた。


 あれ?ここから出るのが目的だったはずが、スローライフが始まってしまった気がする。


 夕方まで探索しながら狩りをした。

 レベルが35になったので小屋に帰る。


 戦闘術がLv.4になって火魔法と風魔法がLv.3になった。

 新たに光魔法を覚えて、直ぐにLv.2になった。


 ネージュに頼んで攻撃させて貰ったからね。

 魔法で先制攻撃をしたり弱らせてから攻撃したり、こうでもしないと能力が伸びないからな。


 パワーレベリングでパーソナルレベルが上がっても、同じレベルの人と比べたら弱くなってしまうから、暫くは能力の底上げをするのが良いかも。

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