第13話 生活魔法応用編
「ふん!」
気合いだオレ!
おおぉ、やはり魔力をドカ食いするぜ。
分量的に拳までの大きさなら魔力はそんなに使わないんだけど、それを越えた途端にバク上がりするのだ。
更に形や色を変化させるのにも魔力を使うし神経も使うから、石から形がかけはなれる程に大変になる。
「…はぁはぁ…出来た」
そこにはフライパンが鎮座していた。
そう、取手のない形ならここまで苦労はしなかっただろう。
でも取手の取れるT-●al状態では駄目なのだ。
これを乗り越えられたなら、片手鍋なんて余裕だぜ!
と、思っていた時がオレにもありました。
その前にマジカル草と言う壁がオレを阻む。
1度目は初めてだったから思いきって食べられたが、2度目は味がわかるだけに拒否反応が出てしまう。
『はい、出来たなの』
「ありがとう」
困った時のネージュさん。
マジで頼りになります。
片手鍋も完璧です。
そんな事をやっている内に日が暮れ出したので、世界樹の元へ帰る。
その前に兎を見つけたネージュが、サクッと一撃したりなんて事もあった。
3回目ともなると焚き火もスムーズに出来るようになるね。
早速フライパンが活躍するぜ。
まずはウサギ肉を1口大に切り塩胡椒をします。
ここで使う塩が、ハーブっぽい草を使ったハーブソルトと言うのがポイントです。
温めたフライパンにウサギの油を入れて溶かします。
ニンニクっぽい野菜をスライスして、こんがりするまで炒めたら取り出します。
そこにウサギ肉を入れてよく炒めます。
皿に盛りつけたらレモンっぽい果物の櫛切りと、クレソンっぽい草を添えて出来上がり。
獲れ立て新鮮ウサギのニンニク風味~レモンとハーブの薫りを添えて~なんてね。
『これ美味しいなの!フィカスは凄いの!』
そうだろ、そうだろ。
収納していた草を鑑定しまくって、食べれる物が増えたからね。
ネージュに確認したら、味の好き嫌いはあるが食べたら駄目な物がないって言うので、やはり犬とは違う生き物のようだ。
念のためニンニクも薫り付けだけにしたし、塩分は控え目にした。
まぁ全異常耐性なんてものがあるし、回復魔法もあるから大丈夫だろう。
オレの分はニンニクは入れたままで、塩胡椒も効かせてある。
更に干し肉とキノコやハーブで出汁を取った、サーモンのスープを作る。
キノコも食べるか迷ったけど、備考の美味しいを信じて入れてみた。
干し肉の塩分があるから、味見して塩を調整する。
「美味い」
鑑定のレベルが上がらなかったら、食べれるか判らなくてここまで美味しく出来なかったな。
やはり異世界で収納と鑑定は間違いない能力だった。
このコンボなくしては成立しないのだから、錬金術や転移魔法に惑わされなくて良かったよ。
そちらのロマンも捨てがたくて迷ったけどね。
でも容量が足りなくて前世の記憶を犠牲にするか、鑑定と収納のどちらかを諦めなければならなかったから止めたんだよな。
せっかくの異世界なのに、前世の記憶が全くないとか意味ないだろ。
『美味しいなの!おかわりなの!』
「はいはい」
ネージュには生サーモンに食べれる草と輪林檎を入れて、レモンとハーブ塩でマリネ風にした物も作った。
オレはまだ生を試す勇気はない。
スープに固いパンを浸けて食べれば、このパンも美味いと思える。
最初が酷いと美味いのハードルが下がるのも何だかな。
後は植物油があれば更に料理の幅が広がるよな。
本気で石臼にチャレンジするか…ネージュさん頼りで!
夕飯も終えた頃には月が昇り、神秘的な夜が訪れる。
ネージュにもたれてボーッと月を眺める。
衣食足りて栄辱を知るではないが、食べ物に余裕が出来たから住について考える。
今の所は雨が降らないから屋根のない場所で寝ていられるが、明日はどうなるかわからない。
つまり暫くここで暮らすなら、雨対策は必要だろう。
もっと言うなら文化的な生活圏で暮らしていた元日本人としては、今の環境に苦痛を感じ始めているのだ。
すなわちトイレとか風呂とかの事だ。
そりゃクリーンで概ね解決しちゃうよ?
出した物も無くなるし身体もサッパリするさ。
でも人がいないとしても、開放的な場所で踏ん張るのとか嫌なんだよ。
ホテルなんかでもトイレや風呂がガラス張りとか、理解出来ないタイプなんだよね。
たまには風呂も入りたいし、土魔法で何とかならないかなと思ってしまう。
土魔法で家を建てるのはラノベでもやってるし、生活魔法の応用力からすると実現不可能ではないはずだ。
となると、明日は土魔法をメインに使ってレベル上げといくか。
ふと気になって聞いてみる。
「ネージュは雨が降った時はどうしてるんだ?」
『結界を張ってるなの。そしたら雨も入らないの』
「え?結界なんて使えるの?」
『使えるなの!ネージュはフェンリルだから凄いなの!』
あー文字化けしてた能力か!?
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