第2話 知っていたのなら

「つまり運命の人になってほしいっていうのは、私のことを心から愛したい、愛せるような人になってほしい、ってことなの?」

「…まあ、そうだね」

不思議な話である。愛してほしいなら兎も角、愛したいと言っているんだから。


「まあ…いいや。じゃあ次。なんでこのタイミングで言ったの?私、別れたいって言ったのに。脈絡もなかったし」

「…あー…」

彼は所在なさげに視線を彷徨わせると、自身の組んだ指を見下ろして呟く。

「なんで、君が別れを切り出したのか…なんとなくわかるから」

「…え?」

気づいていたというのだろうか。私がどうして君を「嫌い」とまで思ったのか。

「だから僕は…こうして宣言して、変わりたい。君を愛せる人に。君のために動ける人に」

「…知っていたのなら、変わってくれれば良かったじゃん」

「それができれば、僕はこんなに不器用じゃないんだよ」

だから、宣言したんだ。そう君は言って、目線をあげる。


「それと…君と別れられるとは、思ってなかったから」


………。

そんなこと言われたら、もう拒否することなんて、できないじゃん。


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