お化け屋敷
私が過去に自宅として住んでいた一軒家が、なぜお化け屋敷のような状態になっていたのか不思議に思う時がある。私が十九歳──定時制高校(定時制高校は四年制の高校である)の学生をやっていた時に両親が離婚し、母・妹とともにその家を離れたのだが、私に物心がついた時には、すでにその家は「家族全員が常に『なにかしらの心霊現象』にあう家」と化していた。
心霊現象としては些細なことで、たいして怖くはないのだが。うちの父が洗面所で歯を磨いていたら、なんの前触れもなく急に見知らぬ中年男性が背後に現れる──とか。うちの母が洗濯物を洗濯機で洗う準備をしていたら、父(母から見たら夫)のパジャマを着た人がトイレ方面に歩いて行った気がしたのに、実際には誰もトイレに行っていなかった──とか。妹にだけ聞こえる、毎年節分の日になると自宅のすぐ脇をドスン、ドスン、ドスン……と巨人が歩くような足音がする──とか。私自身も、私だけが自宅で留守番をしていると、見知らぬ幼女が妹の名前を一度だけ呼ぶ声が聞こえ、返事がないと、その幼女があからさまな噓泣きをするという経験があったり。数えだしたらキリがないが、家族全員が「なにかしらの心霊現象」にあっていた。
あんまりにそういう現象とあうため、家族全員が、心霊現象と出会うたびに笑い話として心霊現象を話すようになっていたのだが。その家に
もしかしたら、私たち(祖父母を含む)が知らないだけで、土地になにか曰くがあるのかもしれないのだが、私が住んでいた方の一軒家だけがピンポイントでお化け屋敷化していた理由は一体なんなのだろうか?これを執筆しているのが二〇二三年二月であるため、あの一軒家から離れてから今年で丸十年を迎えるのだが、それだけの年月が経っても、ふと疑問に思うのだ。あの家は、なぜお化け屋敷化してしまったのだろう──と。
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